法人カードの現金化は可能?違法性の有無やリスクなどを解説

法人カードの現金化は可能?違法性の有無やリスクなど解説

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3行でまとめると…

  • 法人カードの現金化は可能だが、原則規約違反なので推奨しない##first
  • 現金化よりも、法人カードを使った正当で安全な資金調達方法がある##second
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資金繰りに困った際、手元に法人カードがあると、現金化を考える方もいるのではないでしょうか。法人カードを使って現金を手に入れることは可能でしょうか?

結論から言えば、法人カードの現金化は可能ですが、リスクが大きいため推奨しません。

この記事では、法人カードで現金化する方法やリスク、現金化以外に資金調達する方法などを解説します。法人カードの現金化を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

監修者 越智聖(税理士)

監修者

越智聖

税理士

松山市の税理士 越智聖税理士事務所、株式会社聖会計代表。経済産業省 認定経営革新等支援機関
“ヒトの為に動く”をモットーとした懇切丁寧な対応で、主に中国・四国全域の中小企業を中心に支援。業種としては不動産業、建設業、飲食業、宿泊業、保険業などを中心に、酪農業、漫画家といった珍しい業種のクライアントまで対応している。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意とし、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超えている。

目次

法人カードの現金化とは

法人カードの現金化とは

法人カードの現金化とは、意図的に利用枠を使って現金を手に入れる方法ですが、法人カードの利用枠を現金に変える方法があります。2つの現金化の方法について、次から詳しく解説します。

法人カードの現金化とは

現金化の方法①買取式

買取式とは、法人カードで金券やブランド品など換金率の高い商品を購入し、買取業者に売却することで現金を得る方法です。

たとえば、法人カードを使用して1万円分の商品券を購入します。次に、購入した1万円の商品券を金券ショップに持ち込み9,000円で売却できれば、9,000円が現金として手元に入ることになります。つまり、1万円分の利用枠が、9,000円の現金に変わるのです。

買取式は利用枠が残っていれば現金化できるため、手元に現金がなくても現金を得られる利点があります。ただし、後述のとおり、買取式はそもそも損をしてしまう行為であるため、資金調達として推奨される方法ではありません。

現金化の方法②キャッシュバック式

キャッシュバック式とは、現金化業者から安い商品を高額で購入し、その見返りとして現金をキャッシュバックしてもらう方法です。

よく、広告などで宣伝されるクレジットカードの現金化は、このキャッシュバック式を指していることが多くなっています。

たとえば、現金化業者から10万円のブランド品を購入すると、その見返りとして9万円の現金がキャッシュバックされます。つまり、10万円分の利用枠を、9万円の現金に変えたことになるのです。

キャッシュバック式の換金率は90%程度です。キャッシュバック式も買取式と同様、手元に現金がなくても、利用枠がある限り現金に変えられます。

一方で、キャッシュバック式も損をしてしまうのが確実なので、資金調達として推奨される方法ではありません。

法人カードの現金化は違法ではないが規約違反

法人カードの現金化は違法ではないが規約違反

法人カードの現金化はグレーゾーンではあるものの、明確な違法行為ではありません。というのも、クレジットカードの現金化を禁止している法律がないからです。

また法人カードの現金化は、意図的に利用枠を現金に変える方法ではあるものの「商品券やブランド品などを購入したものの、不要になったので売却した」という体裁があります。そのため、違法行為とは言えないのです。

ただし、カード会社の多くが規約で現金化を禁止しています。規約では、たとえば次のように記載されています。

現金を取得することを目的として商品・権利の購入または役務の提供などにカードの利用可能枠を利用することはできません。

規約で禁じられている現金化を行い、それがカード会社に発覚した場合、利用停止や強制退会の対象となります。

なお、現金化業者が過去に摘発された事例もあります。現金化自体が摘発の理由ではありませんが、現金化業者のキャッシュバックが貸付とみなされ、その金利が法定分よりも超えていた、というものです(詳しくは朝日新聞のニュースをご参照ください)。

違法な現金化業者と自社で取引があったことが発覚した場合、企業の信用を毀損する恐れもあります。

このように、法人カードの現金化は法人にとってリスクの大きな行為です。会社としての信用を大事にするのであれば、資金調達として法人カードの現金化には手をつけるべきではありません。

金融庁や日本クレジット協会は現金化を禁じている

法人カードの現金化は規約で違反されているケースが大半ですが、たとえ規約で記載されていなくても、金融庁や日本クレジット協会も禁止しています。

金融庁・消費者庁は、「結局は返済能力を超える債務を増大させる可能性が高い」「入金されない・キャンセルできないなどのトラブルも発生している」として、クレジットカードの現金化を認めていません。

さらに、日本クレジット協会「カード会社はクレジットカードの現金化を認めていません。絶対行わないでください」と注意喚起しています。

金融庁や日本クレジット協会が認めていないクレジットカードの現金化を会社として行い、それが発覚した場合、信用を毀損したり社会的責任を問われたりする恐れがあります。

法人カードで現金化する4つのリスク

法人カードで現金化する4つのリスク

規約で禁止されているため、法人カードの現金化は推奨されていません。規約で禁止されているという理由以外にも、法人カードの現金化にはさまざまなリスクがあります。これから、法人カードで現金化をすると負ってしまう主なリスクを4つ解説します。

法人カードで現金化する4つのリスク

①現金化自体が金銭的に損をしている

先述のとおり、そもそも法人カードの現金化自体が、金銭的に損をしている行為です。

たとえば、キャッシュバック式で換金率90%のブランド品を10万円で購入した場合、9万円のキャッシュバックを受け取れます。一時的に9万円の手元に入りますが、法人カードでは10万円で請求されるため、1万円の損を被っています。

同様に買取式でも、購入した額以上に売却できるケースはほぼ皆無です。法人カードの現金化は一時的に現金を得られますが、実際には損を含む行為であり、後の支払負担を増大させます。

②現金化が原因の強制退会は信用情報に傷がつく

現金化がカード会社に発覚した場合、強制退会の対象になります。現金化が原因による強制退会は信用情報に傷がつき、後の融資や法人カードの発行などに悪影響を及ぼします。

法人カードの強制退会処分や利用停止措置は、信用情報機関(CICやJICCなど)に事故情報として登録されます。たとえば、JICCがこちらのページで公開している、取引事実として登録される信用情報の1つが「強制解約」です。

法人に対して融資や法人カードの発行を行う場合、原則として会社の代表取締役社長の信用情報を必ず確認します。その際、法人カードの現金化によって事故情報が登録されている場合、悪影響を及ぼします。

このように、法人カードの現金化は会社の存続を妨げる可能性が高く、愚かな行為と言わざるを得ません。

③一括返済を求められ結果的に資金繰りが苦しくなる

法人カードの現金化が発覚した場合、規約違反として強制退会および利用停止となります。規約違反による解約は一括返済が求められるため、資金繰り改善のための現金化によって、結果的に資金繰りが苦しくなる状況が生まれる恐れがあります。

法人カードで現金化が行われるのは、借入の返済や買掛金の支払いなど、短期的に資金が必要な場合が大半です。

いわば資金繰りが苦しいときに行われるのが大半ですが、一括返済を求められれば、さらに資金繰りは厳しいものになります。自社の首を絞める行為なので、資金調達の方法として法人カードの現金化を選ぶことは避けるべきです。

④詐欺などの犯罪に遭う可能性が高い

法人カードの現金化はグレーゾーンなため、現金化業者は悪質な会社が多いのが現実です。詐欺などの犯罪に遭う可能性が高くなっています。

過去には、クレジットカードの現金化によって、次のような詐欺に遭った事例が確認されています。

  • クレジットカードの情報を盗まれ、不正利用された
  • 購入した商品が届かなかった
  • 商品を購入したが、キャッシュバックのお金が振り込まれなかった など

思わぬ犯罪に巻き込まれる可能性もあり、法人カードの現金化はリスクの大きな方法と言わざるを得ません。

法人カードの現金化がカード会社に発覚する要因

法人カードの現金化がカード会社に発覚する要因

法人カードの現金化は、一見カード会社に知られないように思えますが、それは誤りです。カード会社は、あらゆる方法を使って、現金化を含めたユーザーの不正利用を監視しています。次から、法人カードの現金化がカード会社に発覚する要因を3つ紹介します。

法人カードの現金化がカード会社に発覚する要因

現金化業者で決済している

カード会社が監視している現金化業者で、法人カード利用者が決済しているケースです。

カード会社が不正利用を常に監視しており、規約で禁じている現金化を行う業者に対して決済システムの停止処置を行います。その現金化業者で頻繁に決済している法人カード利用者は、現金化が疑われ、強制退会処分を受ける流れです。

頻繁に金券などを購入している

換金率が高い商品券や新幹線の回数券を頻繁に購入している利用者は、カード会社から監視される恐れがあります。

金券や新幹線の回数券を購入している行為自体が、カード会社に監視される要因になることはありません。毎月取引先に商品券を購入したり、出張で頻繁に新幹線に乗車したりと、正しく法人カードを利用している方もいるからです。

ただし、金券や新幹線の回数券などの購入額やその頻度が極端に多い場合、カード会社から監視対象になることがあります。そこで、現金化業者で決済していることなどが発覚すると、現金化が発覚してしまうのです。

また、監視対象の利用者には「利用状況に関するアンケート」を配布し、利用に整合性があるか確認されることもあります。

キャッシング枠を使い切っている

法人カードのキャッシング枠を使い切っている利用者を、カード会社は「現金化する可能性がある」として注意深く監視しています。なぜなら、キャッシング枠を使い切った利用者は、次に現金化に手をつける可能性が高いからです。

クレジットカードの現金化は、キャッシング枠を使い切った方の、いわば「最後のとりで」のような位置づけです。

キャッシング機能がついている法人カードは少ないものの、使い切っている方は、カード会社から監視されている可能性が高く、このとき現金化業者などで決済すると現金化が発覚する場合があります。

法人カードの現金化以外で安全に資金繰りを改善する方法

法人カードの現金化以外で安全に資金繰りを改善する方法

ここまで述べてきたように、資金調達として法人カードの現金化を選ぶことは推奨されません。早急に手元に現金が必要な場合、現金化以外の手段を選び、正当な方法で資金を調達するべきです。そこで次から、現金化以外に、法人カードを使って安全に資金調達する方法を4つ紹介します。

法人カードの現金化以外で安全に資金繰りを改善する方法

支払いを法人カードに切り替え

これまで銀行振込で対応してきた支払いを、法人カードに切り替える方法です。一般的に、法人カードの支払いは当月締めの翌月払いなので、法人カードに支払いを切り替えるだけで、約1~2カ月支払いを遅らせることができます。

まずは、これまで現金支払いや銀行振込で対応していた備品の購入などを、法人カードに切り替えられないか調査してみましょう。

また、請求書の支払いを法人カードで行えるサービスもあります。たとえば「支払い.com」は、請求書の支払いに法人カードを利用することで、最長60日間支払いを延期できるサービスです。

支払い.comが代わりに銀行口座に振り込んでくれるため、借入せずに資金繰りを改善できる便利なサービスです。

突発的に資金が必要になるような会社では、法人カードを積極的に活用し、支払いを遅らせることで資金繰り対策が可能となります。

ファクタリング

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金化するサービスです。ファクタリング会社を利用することで、売掛債権を、期日よりも早く手に入れることができます。

ファクタリングを用いることですぐに現金を得られるため、返済日が迫っている方や、すぐに資金調達したい法人に便利です。

ただし、ファクタリング会社には売掛債権にプラスして手数料を支払う必要があり、全額の売上債権を受け取れなくなる点には注意が必要です。

参考:売掛金の買取(ファクタリング)とは?仕組みやメリット、おすすめの会社を解説

ビジネスローン

ビジネスローンとは、事業専用のローン商品です。法人および個人事業主が借入できます。ビジネスローンを販売する金融機関は、主に次の3つです。

 

  1. 銀行
  2. クレジットカード会社
  3. 消費者金融

ビジネスローンは、融資よりもスピードが早く借入できます。また、原則保証人なしで借入できるため、すぐに資金調達したい法人におすすめの方法です。

一方で、金利が高いのがネックな点です。ビジネスローンの金利は10%前後~18.0%と高く、返済で資金繰りに苦しむ恐れがあります。

カードローン

事業向けカードローンとは、契約極度額内であれば、自由に事業資金を利用できる融資制度です。法人や個人事業主が借入可能です。

個人向けのカードローンと同様、ローンカードを使ってATMで借入・返済ができます。必要なとき、必要な額だけを借入できるのが、カードローンの利点です。

また、カードローンはATMを使って借入・返済を行うため、平日の15時以降や土日も手続き可能です。

ただし、特に消費者金融系のカードローンは利率が最大18.0%と、融資に比べて高くなります。借入利率によっては返済の資金繰りに苦しむ点については、事前に理解しておきましょう。

キャッシング枠を利用する

キャッシングとは、クレジットカードからお金を借りられるサービスです。キャッシングには「キャッシング枠」が設けられており、その利用限度額内でいつでも借入が可能です。

融資に比べてお金を借りられるスピードが速く、急な資金調達や海外での支払いなどに便利です。また、融資と異なり保証人は不要で、すぐに現金を手に入れられます。

法人カードの限度額は、カード会社によって異なります。一般的な法人カードで月10万円〜100万円、ゴールドカードで月10万円〜300万円、プラチナカードで月10万円〜500万円が相場です。

ただし、個人向けのクレジットカードと異なり、キャッシング機能がついている法人カードは少なくなっています。また、融資などに比べて利息が高く、返済のために資金繰りに苦しむ恐れがあります。

まとめ

まとめ

法人カードの現金化とは、ショッピング枠を使って現金を手に入れる方法です。現金化自体は違法性がありませんが、カード会社が規約で禁止している行為であり、発覚すると強制退会や利用停止措置などを取られる恐れがあります。

会社の信用を毀損するリスクの大きな方法なので、法人カードの現金化は推奨しません。

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上場を意識しており、現金化など従業員の不正利用を防止したい方は、ぜひUPSIDERカードの導入を検討してみてください。