キャッシュフローが悪化したとき、「経費の支払いを法人カード(ビジネスカード)で分割払いまたはリボ払いしたい」と、考えることがあるでしょう。
しかし、残念ながら法人カードの多くは、一括払いにしか対応していません。さらに分割やリボは手数料が高いため、資金繰りに難を抱えている企業にはあまりおすすめできません。
そこでこの記事では、法人カードの支払い方法について解説するだけに留まらず、経営が厳しいときに知っておきたいことや対処法まで、税理士監修のもとで解説します。
目次
以下、各社の案内を見ても分かるとおり、法人カード(ビジネスカード)のほとんどは一括払いにしか対応していません。
楽天ビジネスカードは1回払いのみの取り扱いとなります。
【出典元】『Q.楽天ビジネスカードについて知りたい』|楽天カード株式会社
ビジネスカードはリボ払いや分割払いをご利用いただけません。全て1回払いとなります。
【出典元】『Q.ビジネスカードでリボ払いや分割払いは利用できますか?』|三井住友カード株式会社
UC法人カードのお支払い方法は1回払いのみとなります。
【出典元】『【UC法人カード】2回払い/分割払い/ボーナス払い/リボ払いは利用できますか。』|ユーシーカード株式会社
分割払いはもちろん、2回払いやボーナス払いに対応しているものも少ない傾向にあります。法人カードの対象者は、元来、比較的安定した企業であったためです。
しかし個人事業主や中小企業が増えたことで、現代では分割払いの需要が高まっており、それはカード会社も熟知していると考えられます。
それにも関わらず、カード設計を大きく変える企業が少ない理由は、貸し倒れリスクを懸念してのことでしょう。ビジネスで利用する以上、個人よりも利用額が大きくなるため、カード会社も慎重にならざるを得ません。
2010年以降からは分割払いに対応した法人カードも数枚リリースされ始めましたが、利用限度額や特典が個人カードとほぼ変わらないものであるか、または年会費が高め(=余裕がある企業向け)であるかに分かれることも、以上の推察を裏付けるでしょう。
法人カード(ビジネスカード)は分割払いだけでなく、以下のサービスにも非対応であることがほとんどです。
これらが利用できないのは、個人カードと大きく異なるポイントです。しかし経費決済はプライベートな利用と異なり、計画的に行う必要があります。本来なら、分割払いやリボ払いは利用しないで済むのがよいことは、心に留めておきましょう。
法人カードの多くは、以下の通り、リボ払いやキャッシングができません。
回数払いやリボ払いはご指定できませんのであらかじめご了承ください。
【出典元】『Q.楽天ビジネスカードについて知りたい』|楽天カード株式会社
UC法人カードにはキャッシングサービスが付帯されておりません。
【出典元】『【UC法人カード】キャッシングは利用できますか。』|ユーシーカード株式会社
※キャッシングは一部の提携カードや法人カードは利用できません。
【出典元】『キャッシング(リボ払い・1回払い)が利用できませんでした。なぜですか?』|株式会社ジェーシービー
非対応の理由としては、分割払い同様、個人よりも利用金額が大きくなりやすく、貸し倒れリスクが高いためだと考えられます。しかし、リボ払いは特に手数料が高く、個人でも法人でも利用はおすすめできないので、非対応でも大きな問題はないでしょう。
一方、キャッシングは外貨への両替代わりに使えるメリットがあります。海外出張が多く、かつクレカ決済があまり普及していないエリアに行くようであれば、キャッシング付帯の法人カードを選ぶのもよいでしょう。
一括払いしかない法人カードの場合、決済後に後から支払い方法を変更するのは難しいでしょう。たとえカード会社に相談したとしても、まず対応はしてもらえません。
「法人利用=まとまった金額になりやすい」状況での支払い相談では、カード会社は貸し倒れリスクを強く懸念するためです。下手に相談しては、今後の契約に響く(利用可能枠の引き下げ、増枠審査が厳しくなるなど)恐れがあるため、注意しましょう。
なお、法人カードのなかには、支払い方法の変更不可についてWebサイトで述べているものもあります。
UC法人カードは、お支払い方法を後から変更することができません。
【出典元】『【UC法人カード】カード利用後、2回払いやボーナス払い・分割払いに変更できますか。』|ユーシーカード株式会社
法人カード及び一部の提携カードでは本サービス(※分割変更サービス)を利用いただけません。
【出典元】『分割変更サービス』|株式会社ジャックス
明示されている場合には、ほぼ間違いなく変更できません。「どうしてもカード会社に相談しなくてはいけない」状況であっても、まずはWebサイトをよく確認しましょう。
分割払いやリボ払いできる法人カード(ビジネスカード)を利用すると、以下のようなメリットを得られるでしょう。キャッシュフローが悪いときや、事業資金が心もとないときに、分割やリボは役立ちます。
たとえば売上が少ない月に合わせて、分割を利用すればキャッシュフローを改善できます。リボ払いであれば、1カ月の支払い額が一定になるため、経費支出を安定化できるでしょう。
ただし、分割払いやリボ払いは、あくまで支払いを先延ばしにしているだけです。そのうえ手数料も高めなので、長期的に見るとキャッシュフロー悪化の原因になり得ます。
キャッシュフローの改善メリットは、あくまで一時的なものだと考えるのが無難です。
分割払いやリボ払いを利用すれば、手元資金が少ない状況でも、事業発展のための投資をしやすくなるでしょう。1カ月あたりの支払額を調整できるためです。
特に設備投資をはじめとした既存事業に対する一時的な投資(費用負担の多くが投資した瞬間であるもの)には分割払いが使いやすいでしょう。計画的に利用しやすく、手数料もかさみづらいためです。
一方、軌道に乗るまで継続的に経費がかかりやすい新規事業投資は、分割払いを繰り返し利用しなくてはいけない事態に陥りかねません。より手数料がかからない資金調達方法を検討するのが、おすすめです。
分割やリボを利用するときに大きなネックになる手数料ですが、2回払いやボーナス一括払いであれば、個人カードと同じくかかりません。「すぐに一括で支払うのは厳しい」状況のときは、まずは2回払いやボーナス一括払いを検討しましょう。
ただし、分割払いやリボ払いに対応した法人カードであっても、すべての支払い方法が充実しているとは限りません。支払い方法を重視して法人カードを選ぶのであれば、利用したい方法に対応しているかを事前によく確認しましょう。
分割払いやリボ払いはうまく使えば資金繰りに役立つサービスですが、以下のような注意点があることは、理解しておくとよいでしょう。特に「事業資金が心もとない」や「社員用カードを多く発行したい」と考えている企業は、法人カード(ビジネスカード)の選び方を考え直したほうがよいかもしれません。
法人カードであっても、分割払いやリボ払いの手数料は高めの設定です。
- 分割払い手数料の相場:年15.0%程度
- リボ払い手数料の相場:年20.0%程度
あまり長期間にわたって利用したり、繰り返し使ったりすると、利息で経営が圧迫されかねません。銀行のビジネスローンなら相場は2.0%程度、消費者金融では18.0%程度です。比較してみましょう。
100万円を利用した場合の利息額シミュレーション(支払い回数別)
金利/回数 | 3回 | 10回 | 24回 |
年2.0% | 3,335円 | 9,253円 | 2万1,206円 |
年15.0% | 2万5,128円 | 7万27円 | 16万5,509円 |
年18.0% | 3万166円 | 8万4,643円 | 20万2,447円 |
年20.0% | 3万3,541円 | 9万4,241円 | 22万6,158円 |
※簡易的なシミュレーションのため、同条件の利用であっても利息額には多少の差異が出ることもあります。
支払い回数が増えるほど、金利による差は大きくなります。何回も分割しなくてはいけないほどまとまった金額が必要なときには、ほかの資金調達方法を検討したほうがよいでしょう。
特にリボ払いは、注意が必要です。毎月の支払いを一定額にできますが、その金額をあまりに少ない設定にしてしまうと、完済までに非常に多くの時間がかかり、その分、利息も膨らみます。
さらに分割払いは1つの決済に対し、○回と決められますが、リボ払いはそうではありません。リボを利用するたびに利用残高が増え、すべての支払いを終えるまで継続して利息がかかります。
このような仕組みであることから、利用計画が立てづらく、雪だるま式に利息が膨らみやすいのがリボ払いです。分割払いと比較しても非常にリスクの高い支払い方法なので、利用は極力避けるようにしましょう。
2024年5月時点で発行されている分割払いやリボ払いに対応した法人カードは、そのほとんどが個人事業主や小規模企業向けに作られています。
そのため、利用限度額は高くて500万円程度が一般的です。それ以下のものも少なくありません。利用限度額が低ければ、分割払いやリボ払いによるメリットのうち、「事業発展のための投資」には、生かしづらいでしょう。
分割払いやリボ払い対応の法人カードのほとんどは、社員用の追加カードサービスが充実していません。こちらも理由は、個人事業主や小規模企業向けに設計されることが多いためです。
発行枚数の制限が厳しかったり、1枚ごとに年会費がかかったりするため、以下に当てはまる場合には注意しましょう。
- 多くの従業員に社員用カードを持たせたい
- 利用先ごとにカードを使い分けて、把握しやすくしたい
また、追加カードのサービスに力を入れていないためか、1枚ごとの利用設定を細かく決められない傾向にあります。不正利用の防止をはじめセキュリティ面を考えると不安が残るため、特に信用のおける従業員の間でしか運用しづらいでしょう。
分割払いやリボ払いに対応していて、かつ年会費が無料・格安の法人カードの場合、事業者や企業向けの特典が少なく、個人カードとの違いがあまりありません。
年会費に限らず付帯することが多いのは、会計ソフトやネットサーバーの利用料金優待であったり、オフィス向けネットショッピングサイトでの割引優待が主です。
一方、事業者向け特典が充実した法人カードの場合、会計ソフトとの連携機能が搭載されていたり、インボイス制度に対応した電子帳簿保存が簡易化できるサービスを提供していたりします。
経理業務の能率アップおよび人的ミスの削減を目指すのであれば、事業者や企業向けに特化した法人カードを優先して選ぶのがよいでしょう。
なお、分割やリボ対応の法人カードであっても、ハイステータスカードであるアメックスまでいけば、事業者向けの特典が充実します。最低グレードであっても年会費は高いため、必要な機能や特典の優先順位を決めたうえで検討しましょう。
【参照元】『法人向けクレジットカードのご案内「ビジネス・カード」』|アメリカン・エキスプレス International, Inc.
法人カード(ビジネスカード)の分割払いやリボ払いは、手数料が高いため、慎重に取り扱いましょう。まず自社の状況が利用に向いているのか、いないのかを見極めることは大切です。
運転資金が少ない事業は、分割払いやリボ払いを用いるリスクが比較的低く済みます。一方、月によって売上や経費が大きく異なる事業は、会社破産のきっかけにもなり得るため、注意しましょう。
運転資金が少ない事業であれば、法人カードも少額利用で済みます。分割払いやリボ払いの手数料によって経営が圧迫されるリスクが低いでしょう。
たとえば情報通信業や金融・保険業、サービス業などは、分割払いやリボ払いが比較的使いやすい傾向にあります。これらの業種は起業時や事業投資時以外には、まとまった費用がかかりにくいためです。
また、たとえ運転資金が多い事業であっても、売上と経費の額がどちらも安定しているのであれば、分割やリボを使いやすいでしょう。事前に利用計画を立てやすく、また計画から大きく外れる可能性が低いためです。
運転資金が多く、かつキャッシュフローが不安定な事業が法人カードの分割払いやリボ払いを利用するのはおすすめできません。利用計画を立てていたとしても、想定外の事態が起こりやすく、最悪の場合には事業が立ち行かなくなる恐れがあります。
たとえば仕入れが大前提となる飲食業や製造業のほか、掛け取引が基本かつ入金サイトが長くなりやすい建設業などは、利用を避けるのが無難でしょう。
資金繰りに難がある中小企業では、安易に分割払いやリボ払いを使っては、かえって経営を圧迫してしまう恐れがあります。
そこでおすすめなのは、法人カードは一括払いに留め、代わりに請求書カード払いサービスを利用することです。ここでは、請求書カード払いサービスとはどのようなものかを解説します。
請求書カード払いサービスとは、2022年ごろからVisaやMastercardといった国際ブランドが新たな機能の提供を開始したことで生まれた金融サービスです。
ローンやファクタリングと比較して「手数料が安い」「審査が易しい」といった特徴を持ち、中小企業でも利用しやすいことから、第3の資金調達方法として注目を集めています。
請求書カード払いサービスを利用すると、銀行振込の請求をクレカで支払えるようになるのがメリットです。取引先のキャッシュレス対応状況は問いません。
これまで銀行振込で対応していた請求をクレカで支払えるようになれば、支払いサイトを延長させられます。しかもサービス会社によっては、申し込みから約2カ月後までの延長が可能です。
中小企業の手元資金が枯渇しやすい原因には、「入金サイトが長く、支払いサイトが短い」や「有利な条件での融資を受けづらい」といったものがあります。当てはまるようであれば、請求書カード払いサービスの利用によってキャッシュフローを改善しやすいでしょう。
請求書カード払いサービスなら、「支払い.com」がおすすめです。払込期日を最長60日にわたって引き延ばせます。
支払い.comは、老舗のカード会社「クレディセゾン(東証プライム市場上場)」とUPSIDERの提携サービスです。クレディセゾンの蓄積されたノウハウを用いることで、「審査なし」および「手数料4%」を実現できました。
審査がなく、また利用額の上限は登録したクレカに依存するため、中小企業や小規模企業でも自由度高く利用できます。担保や書類提出、面談も特に必要ありません。
なお、振込名義も自由に設定可能です。取引先に支払い.comの利用が知られることなく、資金繰りに役立てていただけます。
導入事例:書籍出版業 株式会社アルファベータブックス様
利用金額:100万円 先延ばし日数:60日 導入理由:入金サイトのほとんどが半年後のため、経営が厳しかった 利用者の声:100万円~200万円もの規模で資金繰りが改善された |
https://shi-harai.com/
「キャッシュフローを改善したい」という中小企業の経営者さまには「UPSIDERカード」がおすすめです。支払い.comと組み合わせれば、法人カードと銀行振込、どちらの請求も支払い期日を最長60日ほど延ばせます。
独自審査によって決まる利用限度額は最大10億円のため、「銀行や消費者金融でまとまった資金融資を得られず困っている」状況にも、お役立ていただけるでしょう。
UPSIDERカードの審査では、将来キャッシュフローを含む独自の基準を設けています。なぜなら、UPSIDERカードの成り立ち自体が、企業の成長を支援するために生まれたためです。たとえ中小企業であっても、最大10億円の利用限度額を望めます。
「まだ発展途中で銀行からまとまった融資を受けられない」「法人カードも利用限度額が少なくて、投資に回せない」などといった悩みを抱える経営者さまにぴったりの法人カードだといえるでしょう。それでいて年会費は、本カードだけでなく社員用の追加カードまですべて無料です。
導入事例:株式会社デジタリフト様
導入理由:既存の法人カードはすぐに利用限度額に達してしまい、その都度、カードの切り替えや事前入金するなど、手間がかかっていた。増枠もなかなか応じてもらえず……。 利用者の声:初回から1億円の利用限度額で契約。その後、増枠申請をしたら2営業日で3億円に増やしてもらえて助かった。 |
https://userstory.up-sider.com/posts/digitalift
導入事例:株式会社Morght様
導入理由:売上の急成長に伴い広告費が増え、既存の法人カードでは利用限度額が足りなくなった 利用者の声:既存カードよりも遥かに高い利用限度額で契約できた。そのうえ1カ月に1回程度のペースで増枠申請をし、都度スピーディーに対応してもらえたので、企業の成長に合わせて使いやすかった。 |
https://userstory.up-sider.com/posts/morght
分割払いやリボ払いに対応した法人カード(ビジネスカード)は少なく、選択肢が狭まります。また、手数料が高いため、分割やリボによるキャッシュフローの改善はあくまで一時的なものになりやすいのは難点でしょう。
資金繰りの難しさから分割払いやリボ払いに手を出そうとしているのなら、まずは中小企業でも利用しやすい「UPSIDERカード」や「支払い.com」で、支払いサイトを長期化してみましょう。
「UPSIDERカード×支払い.com」なら、最大10億円の資金調達が可能であるうえ、安い手数料でキャッシュフローの改善がかないます。どちら無料でご登録できますので、ぜひ申し込みを進めてみてください。