海外出張で法人カードを利用すると経費精算業務の工数を大幅に削減できます。通常、海外出張の経費精算では事前の仮払いや社員の現地での立て替え払いなど、最終的な精算までに多くの工数が必要です。
法人カードを利用するとカード明細の利用により、領収書なしでの経費精算が可能になるといった効率化が可能になります。ただし、そのためには経理の効率化に役立つ実用的な法人カードを選ばなければなりません。
この記事では、海外出張における法人カード利用のメリットや、海外出張に強い法人カードの選び方などを詳しく解説します。おすすめの法人カードも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
海外出張に法人カードが必須である理由について、主要国のキャッシュレス決済の普及状況とともに解説します。以下は、一般社団法人キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ2023」による主要国のキャッシュレス決済比率です。
- 韓国:95.3%(参考値)
- 中国:83.8%(参考値)
- オーストラリア:72.8%
- 英国:65.1%
- シンガポール:63.8%
- カナダ:63.6%
- 米国:53.2%
- フランス:50.4%
- スウェーデン:46.6%
- 日本:32.5%
- ドイツ:22.2%
多くの国では日本よりキャッシュレス決済が普及していることがわかります。また、日本のキャッシュレス決済はクレジットカードの割合が高く、デビットカードの割合はわずかです。
しかし、海外では、クレジットカードとデビットカードを併用する人が増えています。欧州ではクレジットカードよりもデビットカードの利用割合が高く、その他の国ではクレジットカードとデビットカードの利用が均衡しています。
日常の支払いはデビットカードで、高額な支払いはクレジットカードでといった使い分けがされているようです。
いずれにしても海外出張の際は、現地の決済環境に適したキャッシュレス手段の準備が必要不可欠です。特にクレジットカードは世界中で幅広く使える決済手段であり、海外出張には法人カードの利用が必須といえるでしょう。
【参照元】『キャッシュレス・ロードマップ2023』|一般社団法人キャッシュレス推進協議会
海外出張における法人カードの利用には、主に以下の7つのメリットがあります。
法人カードを利用すると、出張経費の精算が大幅に簡略化されます。従来の現金払いでは、以下のような煩雑な作業が必要でした。
- 社員が現地での支払い分の領収書を提出する
- 領収書の内容を確認し、経費項目に振り分ける
- 領収書と経費項目を照合し、経費精算書を作成する
- 経費精算書を承認し、支払い処理を行う
法人カードを利用すると出張する役員や社員が現金を持ち歩く必要がないため、事前の仮払いや現地での立て替え払いが必要ありません。
また、カードの利用歴が明細によって確認できるため、領収書がなくても経費精算が可能です。経費の計上漏れや精算漏れも発生しにくくなります。さらに、利用明細に為替レートが記載されるので、為替レートの処理で悩まずにすむ点も大きなメリットです。
デリバリーやタクシーといった現地サービスのアプリとクレジットカードを連携させておくと、チップの過剰請求のようなトラブルに遭いにくくなります。現地の文化や習慣に詳しくないために不当に高額なチップを要求されたり、自分から多く支払ってしまったりするのはよくあることです。
海外での移動には、UberやLyftといったタクシーアプリを利用するのが便利です。これらのアプリはクレジットカードと連携でき、乗車料金やチップもアプリ内で一括決済できます。この機能によって現金でのやり取りが減り、チップを巡るトラブルを回避できます。
また、UberEatsやGrubhubなどのデリバリーサービスも同様にチップも含めたアプリでの決済が可能です。
海外出張中に法人カードを利用する際、スキミングによる不正利用のリスクを考える必要があります。法人カードにクレジットカードを選択すると、デビットカードに比べて大きな損害を防止できます。
デビットカードとクレジットカードの決定的な違いは、決済のスピードです。デビットカードは即時に口座から引き落としが行われるのに対し、クレジットカードは一定期間後の決済日に引き落としが行われます。
このため、万が一スキミングによる不正利用があった場合、デビットカードでは利用された分を取り返すのが大変です。一方、クレジットカードであれば決済日までに利用明細を確認し、覚えのない利用があればキャンセルできます。
また、クレジットカード会社の多くは、不正利用による損害を補償する制度を設けています。このような制度により、たとえスキミングによる不正利用があったとしても、法人の損害を最小限に抑えられるのです。
海外出張は、社員の不正行為が行われやすい状況といえます。考えられる不正行為としては、カラ出張や違法な店での接待、水増し経費などがあります。法人カードを利用すると、このような不正行為の監視が可能です。カードによって、以下のような機能があります。
- 利用内容の把握:カード利用明細をリアルタイムで確認でき、出張先での利用内容を把握できる
- 不審な利用の検知:高額な利用や通常考えられない場所での利用などを検知し、不正行為の可能性を調査できる
- 利用限度額の設定:社員ごとに利用限度額を設定し、不正利用を抑制できる
海外出張で多額の現金を持ち歩くと、紛失や盗難のリスクが高く、安全面での懸念があります。特に、治安の悪い地域への出張では、現金を持ち歩くのは非常に危険です。
法人カードを利用すると、このようなリスクを大幅に減らせます。クレジットカードは世界中の多くの国や地域で利用できるため、現金の所持は必要最小限ですみます。
海外出張では、予期しない高額な出費が発生する場合もあります。たとえば、フライトの欠航や遅延による宿泊費の追加発生、病気やケガによる医療費の支払いなどです。
法人カードの利用限度額は、通常、個人のクレジットカードよりも高く設定されています。そのため、想定外の高額な支払いにも柔軟に対応できます。海外で法人カードを利用することが多い場合、利用限度額にゆとりを持たせるようにしましょう。
海外出張では、ホテルやレンタカーの利用時にデポジットを求められる場合があります。デポジットとは利用料金の担保として預けるお金で、問題がなければ最終的には返還されます。
デポジットには現金を預ける方法と、クレジットカードを利用する方法があります。クレジットカードの場合、カード番号を控えることによってデポジットの預かりとするやり方が一般的です。
また、クレジットカードの提示だけですむ場合もあります。いずれにしても現金のやり取りがない分、返還の手続きも必要なく、トラブルも起きにくくなります。
海外出張でメリットの多い法人カードですが、以下のような注意点もあります。
日本国内でのクレジットカード利用では1回払いであれば手数料はかかりませんが、海外での利用時にはカード会社所定の海外手数料がかかります。多くの法人カードでは海外手数料は2.2%(税込)となっています。
法人カードは海外出張の経費支払いに適していますが、利用限度額には注意が必要です。限度額が低い場合、出張中のすべての経費をカードで決済できない可能性があります。長期の出張や高額な仕入れ・サービスの利用が予定されている場合には、事前に限度額を引き上げるなどの対策が必要です。
海外出張中に法人カードを紛失したり盗難に遭ったりするリスクは常に存在し不正利用されるおそれがあります。そのため、カードの管理には細心の注意が必要です。
もし紛失や盗難が発生した場合には、すぐにカード会社に連絡して利用停止手続きをしましょう。多くのカード会社では迅速な対応がなされ、不正利用が発生した場合でも一定の補償を受けられます。
法人カードは便利な決済手段ですが、すべての場所で利用できるわけではありません。クレジットカードがあまり普及していない国や地域、小規模な店舗などでは利用できない場合があります。
また、複数の国際ブランドに対応していない店舗もあるため、事前に出張先に強い国際ブランドを調べておいたほうがよいでしょう。
海外出張で法人カードを有効活用するには、海外でのビジネスに適した法人カードを選ぶ必要があります。海外出張に適した法人カードを選ぶポイントは、以下のとおりです。
海外出張で法人カードを利用する場合、最も重要なポイントは利用限度額が十分にあることです。海外出張ではビジネス上の成果を出さなければなりません。そのために必要な費用をまかなうだけの利用枠がなければ、本当の意味で役立つカードとはいえないのです。
利用限度額が十分にある法人カードは、以下のような場面で役立ちます。
- 悪天候による滞在延長のような予期せぬ出費が発生した場合
- 高額なビジネスランチや接待などを行う場合
- 現地でまとめて仕入れをする場合
- 大人数での出張の場合
海外出張で法人カードを有効利用するためには、必要な経費をすべて支払える十分な利用限度額が付与されやすいカードを選びましょう。
海外出張で法人カードを利用する際は、カードの国際ブランドが重要です。VisaまたはMastercardは世界中で利用できる加盟店が非常に多く、海外出張時の利便性の高さが強みです。
Visaは世界で最も利用されているブランドで、幅広い加盟店があります。また、MastercardはVisaに次いで多くの加盟店があり、特に欧州での利用に強みを持つブランドです。
国際ブランドの加盟店数が多いカードを選ぶと出張先でのさまざまな支払いに対応でき、ビジネス活動に集中できる環境が整います。
法人カードは、海外手数料が高すぎないものを選びましょう。海外でクレジットカードを利用する際、必ず発生するのが海外手数料です。多くの法人カードでは海外手数料が2.2%程度に設定されていますが、中には、それよりも高い手数料を設定しているカードもあります。
海外手数料は利用金額に応じてかかるため、出張の規模が大きくなればなるほど手数料の総額も増えていきます。そのため、海外手数料が高すぎない法人カードを選ぶ必要があり、できれば2.2%より手数料率の高いカードは避けたいところです。
海外出張で法人カードを利用する場合、強固なセキュリティ機能が備わったカードを選ぶ必要があります。 クレジットカードのセキュリティ機能には以下のようなものがあります。
- ICチップ搭載:カード内にICチップが埋め込まれており、偽造やスキミングに強い
- 3Dセキュア:オンライン決済時に、カード番号・有効期限のような情報に加えて本人確認を行う仕組み
- 不正利用防止機能:カード会社がリアルタイムで取引を監視し、異常な取引が検出された場合には即座に通知が来る機能
- 利用通知サービス:カード利用時にメールやSMSで通知が来るサービス
セキュリティ機能はカードごとに異なるため、自分の利用スタイルに合ったセキュリティ機能のある法人カードを選びましょう。
法人カードを海外出張で利用する場合、煩雑な経費精算を簡略化できる機能のあるカードを選びましょう。具体的には、以下のような機能です。
- 明細ダウンロード機能:利用明細をCSVやPDF形式でダウンロード
- 明細自動取り込み:カード利用明細を自動的に会計ソフトに取り込み、経費精算を効率化
- 承認機能:上司などによる経費精算の承認をオンラインで
また、経費精算専用のカードが作れると、より効率的な経理処理が可能になります。
海外出張で法人カードを利用する場合、ポイントやマイルの還元率が高いカードが望ましいといえます。ポイントを利用代金に充当できたり、マイルを航空券と交換できたりすると、経費節減につながるためです。
海外出張はカードの利用代金も高額になる可能性が高く、還元率の高いカードの経済的メリットが大きくなります。ポイントやマイルの還元率はカードごとに異なるため、法人カードを選ぶ際には確認するようにしましょう。
海外出張では、社員数や出張先によって、必要なカード数が変わってきます。そのため、追加カードが必要なだけスムーズに発行できるカードを選ぶことが重要です。
追加カードについては、以下のポイントをチェックしましょう。
- 発行までの時間:急な出張にも対応できるよう迅速にカードを発行できるか
- 発行枚数:必要な枚数を発行できるか
- カードごとの設定:カードごとに利用限度額や通貨の種類などを設定できるか
- 通貨カード発行の費用:年会費や発行手数料はいくらか
海外出張の多い企業は、追加カードが円滑に発行できる法人カードを選びましょう。
法人カードを付帯サービスの内容で選ぶことには注意が必要です。付帯サービスが充実しているカードは魅力的ではありますが、海外出張の目的に関わるものでなければ絶対に必要とはいえません。ここでは、以下のようなよくある法人カードの付帯サービスの必要性について解説します。
海外出張では予期せぬ病気やケガに備えて、海外旅行傷害保険への加入が不可欠です。海外旅行傷害保険が付帯されている法人カードもありますが、その内容は十分とはいえない場合もあります。
法人カードには「自動付帯」と「利用付帯」の2種類の保険付帯形式があります。
- 自動付帯:カードを持っているだけで保険が適用される形式
- 利用付帯:旅行代金をそのカードで支払った場合にのみ保険が適用されるなどの条件を満たした場合に適用される形式
利用付帯の場合の条件はカードによって異なるため、適用されるかどうかの確認が事前に必要です。条件の誤認により付帯されない場合、無保険での出張となりかねません。
カード付帯の海外旅行傷害保険の補償内容や条件はカードによって異なります。そのため、保険金額が十分でない場合や追加カードは適用対象外の場合もあります。
別途旅行保険に加入するほうが合理的なケースもあることを知っておきましょう。
空港ラウンジサービスは、ゴールドカード以上の法人カードに付帯されることが多いサービスです。空港ラウンジを利用すると、出発前の時間を快適に過ごせます。
ゴールドカード以上の法人カードには高額な年会費がかかります。追加カードにも同様に年会費がかかることがほとんどで、法人にとって大きなコスト負担となります。
空港によっては利用料金(1人1,000円~1,500円程度)を支払えば、誰でも利用できるラウンジがあります。空港ラウンジサービスは便利な付帯サービスですが、法人カード選びの際にどうしても必要とはいえないでしょう。
海外サポートデスクは、海外滞在中に困ったことがあった場合に相談できるクレジットカードの付帯サービスです。多くの主要都市や観光地には、日本語で相談できるサポートデスクが設置されており、気軽に利用できます。
しかし、海外出張では、マイナーな都市や地域へ行くケースも少なくありません。その場合、インターネットや電話を通じたサポートは受けられるものの、直接の支援には限界があります。
海外出張に行く場合、トラブル発生時に備えて事前に現地の日本大使館の連絡先を控えておきましょう。
海外出張の適正な経費精算のためには、海外出張の社内規程を作成しましょう。ここでは、海外出張規程について以下の内容を解説します。
海外出張における法人カード利用のメリットを最大限に享受するためには、明確な規程を策定する必要があります。規程は経費の不正使用を防ぐだけでなく、出張経費の精算業務の効率化にも役立ちます。
海外出張規程に盛り込むべき主な内容は以下のとおりです。
- 全体的なルール:対象となる役員・社員や、出張旅費の適用範囲など
- 出張手続き:出張全体の手続きや旅費精算の流れ、法人カードの利用についてなど
- 旅費:交通費・宿泊費の上限や日当について
- 海外旅行保険:補償内容や加入方法
海外出張規程は定期的に見直し、必要に応じて改訂していきましょう。自社に最適な海外出張規程があると、海外出張における経費を効率的に管理できます。
海外出張規程を作成したら社員全員に対して規程の内容を十分に説明し、周知徹底を図る必要があります。規程の存在を知らない社員がいては、せっかくの規程も意味がありません。
具体的には、以下のような方法で社員への周知を行いましょう。
- 規程の配布とメール通知
- 社内イントラネットへの掲載
- 定期的な社員教育の実施
特に、定期的な社員教育は重要です。海外出張規程に関する研修を年に1回は実施すると、社員のコンプライアンス意識の向上が期待できます。研修では規程の内容だけでなく、海外出張時のトラブル事例や法人カード利用に関する注意点なども取り上げ、社員の理解を深めましょう。
また、海外出張に行った社員からのフィードバックを収集する機会があると、規程を浸透させることや内容の見直しにつながります。
海外出張に強い法人カードを探している企業には、UPSIDERがおすすめです。海外出張でビジネスの成果を得たり、経費精算を効率化したりできる特徴があるためです。
UPSIDERには、海外出張をサポートする以下のような特徴があります。
| 内容 | メリット |
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年会費 | 無料 | 本カード、追加カードともに年会費無料 |
1ヶ月あたりの利用限度額 | 最大10億円 | 海外出張の高額支出にも対応可能 |
海外での取引手数料 | 外貨建て取引の場合、海外サービス手数料2.2%(税込) | |
発行枚数上限 | なし | 無料で必要な枚数の追加カードが発行されるため、社員の旅費精算の効率化が可能 |
会計ソフトへAPI連携 | freee会計、マネーフォワードクラウド会計、マネーフォワードクラウド会計プラス、勘定奉行クラウド、弥生会計クラウド、PCAクラウド | カード利用明細を会計ソフトへ連携させ、経理の工数削減 |
国際ブランド | Visa(Visaタッチ決済対応) | 世界中ほぼどこでも利用可能 |
セキュリティ機能 | ・3Dセキュア認証 ・カード即時ロック機能・利用先制限機能 ・カードごとの限度額・決済通貨・利用期間の設定・リアルタイム決済通知・AIとオペレーターによる不正検知 | 不正使用の防止、万が一不正使用されたときの早期の対応が可能に |
不正使用時の補償 | 最大2,000万円 | |
ポイント還元率 | 1.0%〜 | ・ポイントが高還元率 ・海外出張で高額利用したポイント分が請求額から差し引かれる |
UPSIDERの法人カードは最大10億円の利用限度額が設定可能で、出張先での多額の支払いにも対応できます。仕入れや接待、大型のプロジェクト費用などを現地で決済し、支払日にまとめて引き落としとなるため、計画的な資金繰りが可能です。カードの利用明細のデータが会計ソフトへ連携できるため、経費精算がスムーズにできます。
また、不正利用防止のための即時ロック機能や利用額上限設定、利用先制限機能などセキュリティ面も充実しています。このようにUPSIDERは経費処理の一元化のサポート、高い安全性などで海外出張に役立つ、実用性の高い法人カードです。
海外出張では高額な支払いが多数発生するため、支払い方法の利便性や安全性、経費精算の効率化が重要なポイントとなります。法人カードを活用することで多額の現金を持ち歩くリスクを回避し、スムーズな支払いと経費処理が可能になります。
特に、UPSIDERは海外出張に最適な法人カードといえるでしょう。最大10億円の高い利用限度額で多額の支払いにも対応可能なうえ、明細データを会計ソフトと連携させて経理の工数削減にも貢献します。
さらに、即時ロックや利用制限機能など充実したセキュリティ対策により安心して利用できます。グローバルに事業を展開する企業にとって、UPSIDERは強力な味方となるでしょう。ぜひ導入をご検討ください。