法人カードの年会費の勘定科目は一般的に「支払手数料」や「諸会費」「雑費」で仕訳されます。仕入税額控除も適用できるため、消費税の負担も減らせます。
しかし、経理も担当している中小企業の経営者の中には、「法人カードの年会費は経費になる?勘定科目は何?」「どのように記入すれば良い?」と悩む場面もあるかと思います。
「ネットで検索をして調べても、いまいちわかりづらい……」というケースも多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、法人カードの年会費の勘定科目について、具体的な仕訳の勘定科目や事例を解説します。法人カードの年会費を計上する際の、押さえておくべきポイントや注意点も必見です。
税理士や会計プロフェッショナルの監修のもと、実用的な情報を提供していくので、ぜひ最後までご覧ください。
もし経費計上の作業を楽にして、インボイスにも対応した法人カードを利用したい場合は、「UPSIDER」がおすすめです。UPSIDERは、最短1日後*に発行可能で、60秒でお申し込みできます。(*UPSIDER・セゾンカード利用で前営業日正午までに振込登録を行った場合)
まずはユーザー登録だけでもしておくのがおすすめです。
目次
法人カードの年会費は、経費として計上できます。事業に関連する支出は、経費として計上できるためです。詳細は後述しますが、経費計上できることで消費税の仕入税額控除が適用され、税負担も軽減できます。
サービスと支払う年会費の間で、対価関係がある場合は、課税仕入れとしての計上が必要です。では法人カードの年会費は、どの勘定科目に仕分けられるのでしょうか?主に使用する勘定科目と、選び方を解説します。
【参照元】国税庁 『No.6467 会費や入会金の仕入税額控除』
法人カードの年会費は、支払手数料としての経費計上が一般的です。支払手数料とは、企業が支払う手数料全般を指します。
法人カードの年会費は、カード会社が提供するサービスに対し、利用者が支払う対価です。名目は年会費ですが、継続的な利用に伴う手数料とみなされるため、支払手数料として勘定科目に分類されます。
たとえば、利用している法人カードの年会費11,000円(税込)が、預金から引き落とされたとしましょう。法人カードの借方科目には、「支払手数料」として計上します。
諸会費とは、企業が支払う会費全般を指します。法人カードの年会費は、諸会費として経費計上することもできます。法人カードの年会費は、今後も引き続きサービスの提供を受けるために支払う費用のため、諸会費にも該当するためです。
主に個人事業主が利用する勘定科目ですが、雑費として経費計上もできます。雑費とは、法人が事業を運営する際に発生した、細かな費用全般です。年会費は、特定の用途に直接結びつかない運営費用と見なされるケースもあるため、雑費として計上できます。
雑費で計上する場合は、あとから勘定科目の詳細を把握できるように対策が必要です。さまざまな費用が1つの勘定科目にまとめて計上されるため、詳細を確認しづらくなるためです。
万が一、税務調査を受けた場合、費用項目の詳細説明を求められるケースがあります。記録できていないと、経費として認められないリスクがあるため注意です。
下記2つの対策をしておきましょう。
- 詳細を記録しておく
・法人カードの年会費の請求書、利用明細を保存しておく
・雑費で計上した際に何の費用かをメモしておく
- 内訳表を作成する
・雑費の内訳をまとめた表を作成し、個別の費用項目を記録しておく
たとえば、下記のように記録しておくとわかりやすいです。
日付 | 内容 | 金額 | コメント |
---|
2024/05/15 | 法人カード年会費 | 11,000 | カード会社名 |
2024/06/30 | オフィス雑費 | 2,000 | 消耗品(文具等) |
2024/07/07 | 交際費(雑費として計上) | 30,000 | 接待費用 |
もし記録した雑費の内容が増えすぎた場合、前述した支払手数料や諸会費に再分類できないか、再考すると良いでしょう。
法人カードの年会費を会計処理する際に、押さえておくべき4つのポイントがあります。
法人カード年会費の会計処理は、複式簿記を用いるのがおすすめです。複式簿記は収入と支出などすべての取引を記録し、会社の資産やお金の流れを詳細に記録できます。複式簿記を利用する青色申告では、最大65万円の控除も受けられる点もメリットです。
【参照元】国税庁 『No.2070 青色申告制度』
たとえば法人カードの年会費11,000円(税込)を、クレカで支払い、支払手数料として計上する場合は下記のように記載します。
日付 | 借方科目※1 | 借方金額 | 貸方科目※2 | 借方金額 |
---|
2024/05/15(支払い日) | 支払手数料 | 11,000 | 預金 | 11,000 |
※1借方科目(かりかたかもく)とは、「受け取った」「増えた」内容を記載する欄です。
※2貸方科目(かしかたかもく)とは、「使った」「減った」内容を記載する欄です。
単式簿記は、収入と支出をシンプルに記録する方法です。法人カードの年会費の計上は、青色申告と白色申告のどちらでも可能です。白色申告を行う場合は、単式簿記を用いる必要がある点に注意しましょう。
複式簿記のように二重仕訳の必要がないため、会計の専門知識がなくても簡単に行えます。経理に時間をあてられない方にもおすすめです。法人カードの年会費が11,000円の場合、下記のように記載します。
日付 | 内容 | 金額 |
---|
2024/05/15 | 法人カードの年会費 | 11,000 |
本来、法人カードの年会費の「支払い日」と「引き落とし日」の二度、計上する必要がありました。しかし下記の2つの条件を満たす場合にのみ、「支払い日」のみの計上だけで済み、簡略化できます。
- 法人口座(事業用口座)から直接引き落とされる場合
- 引き落とし日が年をまたがない場合
簡略化できる場合は、下記のように記入します。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2024/05/15(支払い日) | 支払手数料 | 11,000 | 普通預金 | 11,000 |
上記は支払い日が5月15日で、引き落とし日を考慮しても年をまたがないため簡略化できます。繰り返しになりますが、引き落としが年度をまたぐ場合は簡略化できないため注意が必要です。
仕訳を簡略化できない場合は、支払い時は「未払金」として処理します。法人カードを使った時点では、まだ現金が動いていません。その時点での取引を未払金で処理し、後日引き落としが行われた時点で再度仕訳を行う必要があります。
法人カードの利用日と引き落とし日を明確にし、財務状況をクリアにすることが目的です。たとえば、法人カードを利用して12月17日に年会費を支払った場合、下記のように記載します。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2024/12/17(支払い日) | 支払手数料 | 11,000 | 未払金 | 11,000 |
後日、カード会社が法人口座から年会費を引き落とした時点で、「未払金」を消し込みます。今回は、普通預金から支払ったケースで記載します。
日付 | 借方科目 | 貸方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2025/02/10(引き落とし日) | 支払手数料 | 11,000 | 普通預金 | 11,000 |
仕入税額控除とは、消費税を二重に負担しないための制度です。仕入れなどでかかった消費税を、売上の消費税から差し引く形で計上します。消費税の負担を軽減できるため、下記にあてはまる場合は税抜経理の利用がおすすめです。
- 簡易課税制度を利用していない
- 会計ソフトを利用している
- 減価償却の取得で優遇処置を受けたい
【参照元】国税庁 『No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理』
簡易課税制度とは、手間がかかる消費税の計算を簡略化するための制度です。法人カードの年会費の消費税を控除し、納税額を軽減できます。課税売上高が5,000万円以下かつ、税務署長に届出を提出した企業が受けられます。
【参照元】国税庁 『No.6505 簡易課税制度』
また会計ソフトを利用すれば、仕入税額控除などの会計処理も簡単にできます。消費税の計算も自動化できるため、税込経理と違い効率的に計上できるでしょう。
減価償却資産を取得すると、購入費用に含まれる消費税も支払う必要があります。仕入税額控除の適用で、消費税を納付する消費税額から差し引けるため、負担を減らせます。
法人カードの年会費は、条件を満たせば仕入税額控除の対象です。
- 事業のために使用したと証明できる
・利用明細やインボイスを保管し、事業で使用した支出だと証明する必要があります
- 年会費の請求書を保存している
またインボイス制度の導入により、法人カードの利用では、請求書の保存について変更された点もあります。仕入税額控除を受けるためには、下記6つの項目が記載されたインボイスの保存も必要です。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額など
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
【参照元】国税庁 『適格請求書等保存方式の概要―インボイス制度の理解のためにー』
法人カードの年会費はどの勘定科目で計上するかを解説しました。ここからは、法人カードの仕訳例を、税込経理の簡略化できる・できないケース、税抜経理の簡略化ができる・できないケースで解説します。
法人カードで決済する場合によく使う勘定科目は、下記記事で解説していますので参考にしてください。
法人カードの年会費は、支払手数料や諸会費で経費計上するのが一般的です。簡略化できる場合、法人カードの年会費を支払った日で、貸方科目を「預金」として記録します。年会費が10,000円(税抜き)で、消費税率が10%の場合、下記のように記入します。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2024/05/03(支払い日) | 支払手数料 | 11,000 | 普通預金 | 11,000 |
支払いが年をまたぎ、簡略化できない場合は、まず「未払金」として記入します。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2024/12/17(支払い日) | 支払手数料 | 11,000 | 未払金 | 11,000 |
法人カードの年会費が預金から引き落とされたら、貸方科目を「預金」として再度計上しましょう。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2025/02/10(引き落とし日) | 支払手数料 | 11,000 | 普通預金 | 11,000 |
税抜経理の仕訳例として、法人カードの年会費が10,000円で、消費税が10%の場合で考えてみましょう。下記のように、仮払消費税の欄に消費税額を記入します。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2024/05/03(支払い日) | 支払手数料 | 10,000 | 普通預金 | 11,000 |
| 仮払消費税 | 1,000 | – | – |
年会費に含まれる消費税1,000円が、仮払消費税として計上されるため、仕入税額控除として差し引けます。
簡略化できない場合は、まずは「未払金」として計上しておきましょう。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2024/12/17(支払い日) | 支払手数料 | 10,000 | 未払金 | 11,000 |
| 仮払消費税 | 1,000 | – | – |
引き落としが行われたら、下記のように貸方科目を変更し、再度計上します。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|
2025/02/10(引き落とし) | 支払手数料 | 10,000 | 普通預金 | 11,000 |
| 仮払消費税 | 1,000 | – | – |
法人カードの年会費を計上する際は、下記の4つに注意しましょう。
法人カードの年会費を計上する際、一度「支払手数料」として計上したなら、以降も支払手数料で統一することがおすすめです。
勘定科目を毎年統一することで、財務諸表の比較や経理作業が行いやすくなるためです。税務調査でも、一貫性のある会計処理は信頼につながるため、不必要な誤解やリスクを避けられます。
初年度の会計処理を例に、法人カードの年会費が10,000円(税抜き)で、税抜処理をした場合で考えてみましょう。
日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|
2024/05/03 | 支払手数料 | 10,000 | 普通預金 | 11,000 |
| 仮払消費税 | 1,000 | – | – |
翌年度以降の会計処理でも、同じ勘定科目の「支払手数料」で計上します。
日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|
2025/05/07 | 支払手数料 | 10,000 | 普通預金 | 11,000 |
| 仮払消費税 | 1,000 | – | – |
法人カードの年会費を経費として計上すれば、税負担を軽減でき節税にもなります。しかし、高額な年会費のカードを契約するのは逆効果です。過度な支出はキャッシュフローに悪影響を与えるため、最終的には利益が減少する可能性があるためです。
また法人カードの年会費が事業や利益と見合っているか、確認することも大切でしょう。同じサービスを提供している他社の法人カードと比較し、コストパフォーマンスが良いカードに乗り換えるのも1つです。
法人カードの利用時には、請求書を保管しておく必要があります。法人カードの請求書は、計上した経費の根拠として重要になるためです。税務調査や仕入税額控除を受ける際も、インボイスの保存が求められます。
青色申告での請求書の保管期間は、請求書を受領した年の翌年1月1日から2カ月を経過した日から、7年間の保存が必要です。ただし、6年目および7年目は、帳簿または請求書のどちらかで保管すれば問題ありません。
【参照元】国税庁 『No.6625 適格請求書等の記載事項』
請求書を受け取ったら、下記のように保存すると良いでしょう。
- 物理的な請求書の場合:ファイルに整理して保管する
- デジタルの請求書の場合:クラウドストレージや会計ソフトに保存する
インボイス制度の法人カードの経費清算については、下記記事もご覧ください。
プライベートで利用するカードの支出は、経費にならないため注意しましょう。経費として認められるのは、事業に直接関連する支出のみです。仮に法人カードを使って個人的な買い物をしても、事業とは関係がないため、経費として計上できません。法人カードの利用規約にも、個人的な支出は禁止されているケースが多いです。
法人カードの個人利用については、下記記事を参考にしてください。
もし法人カードの年会費を計上し忘れた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。下記の対処法をおさえておきましょう。税務署からの指摘があると科される、ペナルティも解説します。
法人カードの年会費を計上し忘れたときは、期限後申告がおすすめです。期限後申告とは、申告期限を過ぎたあとに申告を行うことです。税務署から指摘される前に自主的に修正した内容を申告できるため、ペナルティを軽減できるメリットがあります。
できるだけ早く期限後申告をすれば、延滞税の対象期間が短くなり、納付額を最小限に抑えられます。とくに法人カードの年会費は、損金算入が認められています。もし申告漏れがあれば、数千円程度ですが利益が多く計上され、法人税額にも影響がでるため早めに申告しましょう。
期限後申告をする前に税務署から指摘された場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティが加算されます。
- 無申告加算税:納付すべき税額が50万円以下は15%、50万円超は20%
- 延滞税:期限翌日から納付日の期間に応じて計算し、2カ月を超えると年14.6%に引き上げ
たとえば、法人カード年会費10,000円(税抜き)を計上し忘れた場合で考えてみましょう。無申告加算税は1,500円です。仮に納期限から3カ月経過している場合は、延滞税が365円発生し、合計1,865円も余分に支払う必要があります。
早期に正しく申告すれば、ペナルティを避けられます。法人カードの年会費の計上忘れがないよう、会計ソフトと連携した法人カードを利用することも対策の1つでしょう。
以下の場合は、無申告加算税が課されません。
- 法定申告期限から1カ月以内に自主的に申告を行った場合
- 期限内申告をする意思があったと認められる、下記2つに該当すること
・期限後申告で納付すべき税額の全額を、期限までに納付している
・過去5年間に、無申告加算税や重加算税を課されたことがなく、期限内申告の意思があったと認められる
つまり、遅れてしまったものの、税金は期限内に全額納付しており、悪質な意図がない場合は、無申告加算税を加算されない可能性があります。
【参照元】国税庁 『No.2024 確定申告を忘れたとき』
「UPSIDER」なら、年会費が永年無料です。会計ソフトと連携できるため、経費管理も簡単で、申告漏れの心配もありません。法人向けカードのため、インボイス管理にも対応済しています。ここからは、UPSIDERの使用事例や、特徴を解説します。
法人カード「UPSIDER」を導入した株式会社バルクオム(以下バルクオム)の事例をご紹介します。バルクオムではアナログでの会計処理だったため、カード明細と紙の領収書を調べる手作業に、毎月3時間〜4時間を費やしていました。
クレカの締め日が20日に対して、会社の締め日が月末だったため、会計サイクルと合わず年度末決算に手間がかかっていました。さらに役員名義での契約で、現場担当者に詳細を開示できなかったため、領収書の回収では担当者を探す無駄な工数もかかっていたそうです。
しかしUPSIDERの法人カードを導入後は、月次決算の調整が不要になり、毎月3〜4時間かかっていた会計処理が数分で完了しています。
「UIが直感的で使いやすく、システム上で証憑管理が可能なので、リアルタイムで明細を確認できるようになりました」と喜びの声も上がっています。
UPSIDERの法人は、年会費無料で、最短即日発行が可能です。会計システムと連携可能なため、計上漏れを防げ、非効率な会計処理をする必要もありません。
ポイント還元率が1.0%〜1.5%と高いため、支出を実質的に抑えられます。インボイス制度にも対応しているため、経費管理が簡単に行えます。コストを抑えながら、最短で法人カードを利用したい経営者様におすすめです。
項目 | 内容 |
---|
発行スピード | 最短即日で発行可能 |
年会費 | 永年無料 |
ポイント還元率 | 1.0%〜1.5% |
利用限度額 | 最大10億円 |
支払い期日 | 期日1日前の正午まで延長可能 |
申込み | 登記簿謄本・決算書不要 |
インボイス | 電子帳簿保存法・インボイス制度対応 |
UPSIDERの法人は、最短1日後*に発行可能です。60秒でお申し込みできるため、まずはユーザー登録だけでもしておくのがおすすめです。(*UPSIDER・セゾンカード利用で前営業日正午までに振込登録を行った場合)
法人カードの年会費は、通常「支払手数料」や「諸会費」「雑費」で経費計上します。また年会費には消費税が含まれるため、仕入税額控除の対象になります。消費税の負担を解消できるため積極的に利用すると良いでしょう。
その場合、インボイス制度として請求書の保存も必要になるため、忘れず保管しておいてください。年会費が永年無料で、経費計上を計上漏れなく簡単に行いたい方は、法人カードの「UPSIDER」がおすすめです。ぜひこの機会にお申し込みください。