キャッシング機能がない法人カードが多いのは本当?借入時の注意点と資金調達方法を解説

キャッシング機能がない法人カードが多いのは本当?借入時の注意点と資金調達方法を解説

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キャッシングサービスとは、クレジットカードに付帯している機能であり、利用限度額の範囲内でお金を借りられるサービスです。

銀行やコンビニなどのATMで資金調達できる便利なサービスですが、法人カードにはキャッシング機能がない場合があります。法人カードにキャッシング機能が付帯している場合でも、キャッシングサービスを利用する際には注意点があるため、事前に確認しておきましょう。    

また、資金繰りに悩み、キャッシングサービスを検討している場合は、それ以外の資金調達方法もあります。法人に合った資金調達方法を選んで、キャッシュフローの改善に活用しましょう。

3行でまとめると…

  • 法人カードはキャッシング機能がない場合が多い##first
  • キャッシング機能を付帯するためには審査が必要である##second
  • 資金繰りに悩んだら、法人カードのキャッシング以外の資金調達方法も検討する##third
監修者 高柳政道(一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、DCプランナー2級)

監修者

一級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得後、2020年5月に金融コラムニストとして独立。企業に属さないFPとして投資商品の選び方を中心に情報を発信。 資産運用・生命保険・相続・ローンなど、多岐に渡るジャンルの執筆及び監修業務を手掛け、関わった記事数は500を超える。
保有資格:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、DCプランナー2級

【監修者コメント】
資金繰りをするために、法人カードのキャッシングを利用するのは有効な方法です。担保も保証人も必要なく、キャッシング枠が設定されたカードを持っていれば必要なときにすぐATMから現金を引き出せます。ただし、高金利だったりATM手数料がかかったりと、返済時に負担するコストが大きくなるデメリットもあります。法人カードのキャッシング以外の資金調達も検討し、最適な方法で現金を調達しましょう。

目次

キャッシング機能が付帯する法人カードは少ない

一般的に、キャッシング機能が付帯する法人カードは少ないです。法人カードでは個人向けカードよりも取り扱う金額が大きく、貸し倒れのリスクも高くなるためです。    

そのため、キャッシング機能は中小企業向けの法人カードや、大企業向けのコーポレートカードにはなく、個人事業主向けのビジネスカードに付帯していることがあります。

キャッシング機能がある法人カードが少ない理由

キャッシング機能が付帯している法人カードが少ない理由は、貸し倒れが発生した際にカード会社の損失が大きくなるためと考えられます。

中小企業や大企業が法人カードのキャッシング機能を利用すると、借入金額が大きくなる可能性があります。金融機関は、契約者に融資した金額が回収できないと損失になるため、融資額が大きくなるほど慎重な審査を行うことが多いです。

そのため、借入金額が大きくなると予想される法人カードには、キャッシング機能が付帯していない場合が多いことになります。

法人カードにキャッシング機能を付帯する方法

法人カードでキャッシング機能を使用するためには、次の2点を確認しましょう。

  • 所有している、または所有予定の法人カードにキャッシング機能があるか
  • 所有している法人カードのキャッシング機能が利用できる状態か

所有している法人カードにキャッシング機能があるが、まだ利用できる状態でない場合は、申し込み・審査が必要です。

申し込みからキャッシングサービスの利用開始までの流れは次のとおりです。

  1. 会員専用ページなどから申し込みをする
  2. 必要事項の記入、書類の提出
  3. 審査結果を待つ
  4. 審査に通過したら借り入れる手続きをする
  5. 資金調達完了
  6. 返済期日に基づいて返済する

法人カードにキャッシング機能を付帯するための審査について

法人カードのキャッシング機能を付帯するための審査では、新規発行時と同じように信用情報などが確認されます

情報の種別
本人の属性職種勤務先収入など
信用情報クレジットカードやローンの契約状況返済、支払状況借入残高など

また、法人カードのキャッシング機能を申し込む際は、法人の財務状況も審査対象になります。なお、金融機関では審査基準を公表しておらず、審査に落ちた場合は理由が伝えられることもありません。

法人カードのキャッシング機能を利用するメリット

法人カードのキャッシング機能を利用するメリットは、次の3つが挙げられます。

法人カードのキャッシング機能を利用するメリット

急な出費に対応できる

必要なときに、すぐに現金を用意できる点がキャッシング機能を利用する大きなメリットです。あらかじめキャッシング枠を設定しておくと、深夜や早朝でもコンビニや銀行のATMから現金を調達できます

急な資金調達が必要になった場合でも、即日で借入可能なのが法人カードのキャッシング機能の特徴です。

保証人・担保不要で事業性資金を借りられる

法人カードの発行やキャッシング機能の申し込みには、保証人や担保は不要です。保証人が必要な銀行のビジネスローンなどと比較して、キャッシング機能のほうが比較的事業資金を借りやすいといえるでしょう。

保証人・担保がなく銀行からの融資が難しい場合でも、法人カードのキャッシング機能を利用して資金調達することができます。

海外キャッシングが利用できるものもある

海外キャッシングとは、クレジットカードに付帯するキャッシング機能を利用して、渡航先のATMで現地通貨を引き出せるサービスです。

現金を持ち歩かなくともクレジットカードを使って調達できるため、海外出張が多い方にはメリットといえるでしょう。

海外キャッシングは事前の申し込みが必要なため、利用する場合は早めに申し込みをしておきましょう。また、利息や返済は通常のキャッシングと同様に発生します。

法人カードのキャッシング機能を利用するデメリット

法人カードのキャッシング機能には、次のデメリットが挙げられます。

法人カードのキャッシング機能を利用するデメリット

利用限度額が小さい

法人カードのキャッシング利用限度額は、多くの場合、300万~500万円に設定されています。     なお、審査によって実際の利用限度額が決定されるため、必ずしも限度額の最大額を利用できるとは限りません。

事業資金の場合、資金使途や状況によっては数十万円や数百万円の借入では不足することも考えられます。

また、クレジットカードはショッピング枠とキャッシング枠を合算した限度額が設定されているため、ショッピング枠の使用状況によっては、さらにキャッシングできる金額が減少する可能性があります。

キャッシング枠の利用限度額

金利が高い

キャッシング機能の金利は15.0%程度の場合が多く、金利が高いとされています。

金利の高さが資金繰りに影響する可能性も考えられるため、キャッシング機能の利用は慎重な検討が必要です。キャッシング機能以外の手段がある場合は、ほかの資金調達方法を検討することも選択肢のひとつです。

ATM手数料がかかる

キャッシング機能を利用する際にATMで借り入れすると、1回の取引で110円から220円程度の手数料が発生します。

オフィスから近い銀行やコンビニなどで借り入れできることはメリットですが、キャッシング機能を利用する回数が増えるほど手数料もかかるため、年間で大きな金額になる可能性があります。

1回の利用にかかる手数料は少額でも、回数が増えればまとまった金額になるため、キャッシング機能を利用するタイミングや頻度に注意しましょう。

返済方法が限られている

法人カードでキャッシング機能を利用した場合の返済方法は、リボ払いがほとんどであり、返済方法の選択肢が少ないのがデメリットです。リボ払いとは、毎月の返済額を固定し金利とともに返済していく方法です。

借入額を分割で返済していくため、返済によるキャッシュフローの急激な悪化が起こりにくい点がメリットといえるでしょう。一方で、月々の返済金額によっては元金の返済が進まず、最終的な利息返済額は大きくなる可能性があります。

なお、海外キャッシングは翌月の一括払いであることが多いです。

法人カードのキャッシング機能を利用するときの注意点

法人カードのキャッシング機能を利用する際は、次の点に注意しましょう。

法人カードのキャッシング機能を利用するときの注意点

借り入れたら仕訳が必要

法人カードを利用して事業性資金を借り入れた際は、銀行などで融資を受けたときと同様に仕訳が必要です。

次の例を基に、仕訳してみましょう。

例:

  • 1月10日にキャッシングで20万円借り入れる
  • キャッシング時に手数料220円発生
  • リボ払いで月々2万円返済
  • 返済日は毎月25日
  • 金利は15%
日付勘定項目借方勘定項目貸方
1月10日  現金200,000円短期借入金200,000円
支払手数料220円普通預金220円
2月25日短期借入金17,535円現金20,000円
支払利息2,465円普通預金2,465円

返済に遅れるとペナルティがある

借り入れたお金の返済に遅れると、次の2つのペナルティが発生します。

ペナルティ内容詳細
遅延損害金の発生・返済日に支払いができなかった場合に、その翌日から入金が確認できる日までに発生する利息のこと
・借入金額が大きいほど遅延損害金も大きくなる
クレジットカードやローンの審査へ影響・信用情報機関に返済が遅れた旨が登録される
・約定返済日から61日異常または3ヵ月以上遅延した場合はクレジットカードやローンの審査に通らなくなる可能性がある

ペナルティを回避するには、返済に遅れていることに気づいた時点で速やかに支払うことが大切です。返済が遅れないように、お金の動きやスケジュール管理をしておきましょう。

現金化はクレジットカード会社の規約違反になる

クレジットカードの現金化とは、ショッピング枠を利用して商品を購入し、購入した商品を売却したりキャッシュバックを受け取ったりして現金を入手することです。

クレジットカードの現金化

法律では違法とはされていませんが、カード会社の規約違反に該当します。また、日本クレジット協会や金融庁はクレジットカードの現金化を禁止しています。

資金繰りが悪化していても現金化は利用せず、ほかの方法で資金調達を検討しましょう。

シミュレーションを利用して返済計画を立てる

キャッシング機能を利用する際は、申し込みをする前に返済シミュレーションを活用することがおすすめです。返済シミュレーションとは、借入予定金額や融資利率、返済方式などを入力することで、月々の返済金額や支払総額が把握できるシステムです。

返済金額が明確になり、返済計画が立てやすくなるため、キャッシングサービスを利用する前にシミュレーションしてみましょう。

法人カードのキャッシング機能以外で資金繰りをする方法

キャッシング機能以外で資金調達する方法は、次の5つが挙げられます。それぞれの特徴を紹介します。

法人カードのキャッシング機能以外で資金繰りをする方法

銀行などの金融機関のローン

金融機関のローンは、事業の運転資金や設備資金など、事業用資金を借り入れできるサービスです。ビジネスローン、プロパー融資、保証付き融資の3パターンあります。法人カードのキャッシングサービスとのメリットやデメリットを比較してみましょう。

資金調達の種類メリットデメリット
法人カードのキャッシング急な出費に対応できる
保証人や担保が不要海外
キャッシングにも対応
取り扱いが少ない
支払方法が限られている
利用限度額が少ない
ATM手数料がかかる
ビジネスローン保証人や担保が不要
審査から融資までのスピードが早い
総量規制の対象外
公的融資と比較すると金利が高い
利用限度額が少ない
プロパー融資金利が低い
利用限度額がない
法人の信用度があがる
保証料がかからない
審査が厳しい
起業したばかりの法人や個人事業主は審査に通りにくい可能性がある
返済期間が短い
保証付き融資比較的審査に通りやすい
担保が不要
返済期間を長くして借り入れしやすくできる
保証料の支払いが発生する
保証協会の保証限度額内での借り入れ

法人・個人事業主向けの公的融資

法人・個人事業主向けの公的融資も、資金調達方法のひとつです。都道府県や自治体、金融機関、保証協会などが協力して行う融資制度であり、法人カードのキャッシングサービスよりも金利が低い場合があります。

また、日本政策金融金庫では「新たに事業を始める」「事業の再建を図りたい」など、融資を希望する理由ごとに申し込み条件が設定されているものもあります。

それぞれの法人が抱える悩みに応じて、申し込みできる条件や利用可能枠、返済期日などが異なります。

ファクタリング

ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に売却し、入金日前に売掛債権から手数料を差し引いた金額が入手できる方法です。売掛金の入金日前に支払いが発生し、手元に資金がない場合などに、ファクタリングが活用できます。

ファクタリングのメリット

  • 資金調達のスピードが早く、キャッシュフローの改善に役立つ
  • 審査が早く、最短即日に資金調達できる
  • 売掛先が売掛金を支払えない状況になっても返還義務がない
  • 決算書や個人の信用情報に影響しない

ファクタリングのデメリット

  • 売掛金の範囲内のみ資金調達が可能である
  • 手数料が高い可能性がある
  • 債権譲渡が売掛先に知られるリスクがある
  • 売掛金から手数料が差し引かれるため、実際に入手できる資金は売掛金よりも少ない
  • 繰り返し利用することでキャッシュフローが悪化する可能性がある

法人の状況に合わせて、ファクタリングを活用するとキャッシュフローの改善に役立ちます。ただし、ファクタリングは繰り返し利用すると、結果的に手数料分の資金が減少することになるため、利用回数には注意が必要です。

請求書カード払いサービス

請求書カード払いサービスとは、取引先から受け取った請求書を手持ちのクレジットカードで決済する決済     代行サービスです。

本来、請求書は銀行振込が一般的であり、請求書の支払期日までに振り込みます。カード払いサービスを利用すると、サービス業者が取引先への支払いを代行し、法人は後日サービス業者に支払う仕組みです。

法人にとっては、支払期日が延長されるため、資金繰りの改善に役立ちます

請求書カード払いサービスのメリット

  • 支払期日を延長できる
  • 審査や書類の提出が不要
  • ファクタリングやビジネスローンと比較して手数料が低い
  • クレジットカードのポイントが貯まる

請求書カード払いサービスのデメリット

  • 利用できるのはクレジットカードの限度額の範囲内
  • 延長できる期間が限られているため、一時的な資金繰り対策となる
  • 個人事業主は利用できない場合がある

請求書カード払いサービス「支払い.com」の特徴

  • 登録金や審査、担保などが不要
  • 手数料は一律4%
  • ユーザー登録すると、最短即日で利用できる

サービスの詳細は「支払い.com」をご確認ください。

法人カードのショッピング枠

法人カードのショッピング枠を利用するのも、資金繰りの改善に役立ちます。

出張費やシステムの使用料、消耗品の購入費などを法人カードで決済すると、購入代金の支払いを1ヵ月~2ヵ月後に延長できます。

法人カードのショッピング枠を利用するメリット

  • 支払期日が延長でき、資金繰りの改善に役立つ
  • 事業用口座から直接利用代金が引き落としされるため、業務が効率化できる
  • 法人カードの利用額に応じてポイントが貯まる
  • 空港ラウンジや海外旅行傷害保険などの付帯サービスが利用できる

法人カードのショッピング枠を利用するデメリット

  • 審査によって利用限度額が異なる
  • 年会費がかかる場合がある

利用限度額最大10億円!資金繰りにも役立つ「UPSIDERカード」

UPSIDERカードにはキャッシング機能は付帯していません。しかし、利用限度額が最大10億円であり、1取引あたり1億円以上の決済も可能です。

利用限度額が最大10億円と高いのは、UPSIDER独自の与信モデルによって可能となっており、キャッシング機能がなくてもカードのご利用で資金繰り改善に役立ちます。

利用限度額に達した月は前払いの併用も可能

利用限度額に達したときは、前払いすることで限度額を超えてのご利用が可能です。特にクレヒスがない場合や、会社を設立したばかりの場合は、理想通りの利用限度額を設定されない可能性もあります。

その際に、前払いをしておけば1枚のカードで高額な支払いにも対応できます。また、限度額が少額の法人カードを複数枚持つよりも、UPSIDERカード1枚で前払いを併用すれば、経理作業も煩雑になりにくい点もメリットです。

高いポイント還元率で経費削減につながる

UPSIDERカードの基本還元率は1.0%からです。1p=1円分として利用可能であり、UPSIDERカードの利用代金の引き落とし時に、ポイント分を差し引かれた代金が引き落とされます。

法人カードのポイントは使い道に悩む場合もありますが、UPSIDERカードは利用代金に使用されるため、有効期限を考えなくて良いこと、自動的に経費削減につながっていることなどがメリットです。

よくある質問

法人カードにキャッシング機能を付帯させることはできますか?

法人カードにキャッシング機能が付帯できることは少ないです。しかし、主に個人事業主向けの法人カード(ビジネスカード)には、キャッシング機能が付帯している場合があります。

法人カードにキャッシング機能を付帯させるメリットを教えてください

法人カードにキャッシング機能を付帯させるメリットは次のとおりです。

  • 急な出費に対応できる
  • 保証人や担保は不要で利用できる
  • 海外キャッシングが利用できるものがある

詳しくは「法人カードのキャッシング機能を利用するメリット」をご確認ください。

法人カードのキャッシング機能の利用限度額はいくらですか?

カード利用者によって異なり、審査で決まります。利用限度額は法人カードに設定された上限金額によって異なり、最大300万~500万円のものが多いです。