法人カードのなかには、日々の取引や決済でポイントが付与される場合があります。付与されたポイントは、法人または法人代表者、個人事業主のものとされ、従業員がポイントを個人利用することはできません。
ポイントを会社で有効活用するためにも、個人利用を防ぐ方法や適切な利用方法を把握しておきましょう。
【監修者コメント】
クレジットカードのポイントは所有権がカードの契約名義の法人代表者、個人事業主に帰属するため従業員が利用することは基本的にできません。ポイントの個人利用を防ぐには事前にルールを明確にしておくことのほかに、カード利用状況をチェックする体制を整えておくことが大切です。
目次
クレジットカードを利用して貯まったポイントは、クレジットカード本会員のものです。そのため、法人カードを契約する法人代表者や個人事業主はポイントを利用できます。
従業員が使うカードは、あくまでも本会員に付属する追加カードであるため、従業員が法人カードに貯まったポイントやマイルを利用できません。
クレジットカード決済でマイルが貯まる法人カードを利用している場合は、マイルの扱い方を社内で統一するのが望ましいでしょう。
航空会社のマイレージに関する規約では、マイルはマイレージ会員である個人に積算されることが定められています。たとえ法人カードで航空券を購入しても、マイルが積算されるのは実際に搭乗する人のマイレージ口座です。
しかし、法人カードの決済で貯まったマイルは、従業員が勝手に利用して良いものではありません。
「付与されたマイルは自由に使って良い」「付与されたマイルの報告を義務付ける」など、会社としてマイルをどのように扱うかを取り決め、社内に周知することが大切です。
法人カードのポイントは法人または法人代表者のものであるため、従業員が勝手に法人カードのポイントを使うと、業務上横領罪が成立する可能性があります。
「従業員はポイントを勝手に使わないこと」など、ルールを取り決めて周知することが大切です。
または、従業員が勝手にポイントを利用できない仕組みの法人カードを導入するのも有効です。
経営者が法人カードのポイントを個人利用しても良いかは、法人カードの種類によって異なります。
法人代表者や自営業者といった個人が申し込む法人カードの場合は、ポイントの所有権も法人代表者や自営業者個人にあるため、ポイントを利用して良いと考えられます。ただし、会計処理が複雑になるため、個人利用ではなく、会社の経費として利用するのが良いでしょう。
個人事業主が事業用クレジットカードとして発行できる「ビジネスカード」の場合は、個人事業主自身が好きなように利用しても問題ありません。この場合は、個人事業主本人がカード本会員であり、ポイントの所有者です。
ただし、獲得したポイントを使って買物をしたときは、通常の会計処理と異なる場合があるため、注意が必要です。
法人カードの利用で獲得したポイントの個人利用を防ぐには、次の方法が考えられます。
法人カードで貯まったポイントをどのように扱うかを決め、社内に周知しましょう。
ポイントを会社の資産として適切に管理していることを従業員に周知することが大切です。
ポイントの利用履歴では、いつ、どれだけのポイントが付与/利用されたかを確認できます。
不正利用がないかをできるだけ早く見つけるために、ポイントの利用履歴を定期的に確認することが大切です。
カード所有者がポイントを自由に使えない法人カードを導入するのも手段のひとつです。法人カードで貯まったポイントの利用方法は、カードによってさまざまです。
ポイントの個人利用を防ぎたい場合は、自動的にキャッシュバックを受けられる法人カードがおすすめです。自動キャッシュバックなら、個人利用を防げるだけでなく、ポイントの失効を防げます。
法人カードで貯めたポイントは、ポイント獲得時の会計処理は不要ですが、利用時に会計処理が必要です。ポイントを利用した際の会計処理例を挙げるので、参考にしてください。
例1 事務用品を購入したら1,500円になった。うち500円分のポイント値引きが発生し、1,000円をクレジットカードで支払った。(ポイント値引)
例2 事務用品を購入したら1,500円になった。支払いの際に500円分のポイントを使用し、残りの1,000円をクレジットカードで支払った。(ポイント支払)
借方 | 貸方 |
消耗品費 | 1,000円 | 未払金 | 1,000円 |
雑収入 | 500円 |
例3 前月のカード利用代金50,000円が預金口座から引き落とされた。そのうち1,000円分はポイントのキャッシュバックを受けた。
借方 | 貸方 |
未払金 | 50,000円 | 預金 | 49,000円 |
| | 雑収入 | 1,000円 |
法人カードで貯まったポイントやマイルは、次のように使うのがおすすめです。
ポイントを個人利用させない場合は、会社がどのように使うかを決める必要があります。経営者も従業員も納得できる使い道を検討しましょう。
業務上必要なものを購入する際にポイントを利用するのもおすすめの方法のひとつです。
例えば、事務用品や名刺、トイレットペーパーなど使用頻度が高い備品が挙げられるでしょう。
定期的に購入するものにポイントを活用すれば、ポイントの使い忘れによる失効を防げます。
法人カードで貯まったポイントやマイルを出張費に充てる方法もあります。
ホテルの宿泊費や交通費といった出張費に充てられれば、経費削減になります。
例えば、貯めたマイルやポイントから交換したマイルを使用すれば、交通手段を新幹線から飛行機に変えられ、ポイントを上手に活用しながら移動時間の短縮も期待できるでしょう。
ポイントを従業員の福利厚生に活用することは、経営者と従業員がお互いに納得しやすい使い道です。
花見や新年会などのレクリエーションはまとまった費用になるので、年間で貯まったポイントを使い切れる可能性があることもメリットのひとつです。
法人カードにおけるキャッシュバックとは、主にポイントをクレジットカードの利用代金に充てられることです。ポイントを利用して支払金額を減らせます。
例えば10万円の利用代金の支払いにおいて、1ポイント1円相当のポイントを、5,000ポイント分キャッシュバックに使えば、実際の支払いは95,000円となります。
UPSIDERカードは、貯まったポイントが自動的にキャッシュバックされる法人カードです。
ポイント還元率は、決済額あたり1.0%~※で、1ポイント=1円として自動的に翌月の利用代金から差し引かれる仕組みです。
※一部利用先で異なります
これにより、個人利用や使い忘れによるポイントの失効を防げます。
UPSIDERカードは、発行手数料なしで追加カードを発行できます。
バーチャルカード、リアルカードともに発行枚数無制限※なので、従業員が多い企業にとっても便利な法人カードです。
※カード発行枚数は、当社都合により制限させて頂く場合がございます。予めご了承ください。
UPSIDERカードは、明細データがAPI連携している会計ソフト(freee会計、マネーフォワードクラウド会計、マネーフォワードクラウド会計プラス、勘定奉行クラウド、弥生会計クラウド、PCAクラウド等)へリアルタイムで反映されます。いつどこでいくら利用したのかをすぐに把握できるため、従業員などによる不正利用を素早く発見しやすいことが特徴です。
シンプルでわかりやすい管理画面で、経理担当者は直感的な操作が可能です。
UPSIDERカードは、追加カード1枚ごとに店舗やサービスといった利用先を5つの項目で限定できます。
- 月間リミット
- 日時リミット
- 取引あたりのリミット
- 利用先のリミット
- 通貨
例えば、仕入担当者は月間1,000万円まで、物品購入担当者はA社のみ・月間5万円まで、などと柔軟に設定できます。
実際にUPSIDERカードを導入して、ガバナンス強化につながった企業様の事例を2つ紹介します。
セーフィー株式会社(以下、セーフィー)様は、クラウド録画・映像管理プラットフォーム「Safie(セーフィー)」を運営する企業です。「Safie」は、カメラとWEBをつなぐだけで、LIVEや録画映像を遠隔で見ることができる防犯カメラのクラウドサービスです。
セーフィー様には、UPSIDERカードの管理画面操作が簡単で、管理しやすい点を特に評価いただいています。
さらに、経理が利用明細をリアルタイムで確認できるため、不正利用にも気づきやすく、決算の早期化にもつながっているようです。
セーフィー様は、UPSIDERカードの導入でガバナンス強化につながっている企業様のひとつです。
ユニファ株式会社(以下、ユニファ)様は、保育、育児関連の社会課題解決を目指す“Childcare-Tech”領域のスタートアップです。「家族の幸せを生み出す あたらしい社会インフラを 世界中で創り出す」をパーパスに掲げ、子育てしながら働きやすい豊かでジェンダーフリーな社会作りを目指し、IoTやAIを活用した保育施設向け総合サービス「ルクミー」の開発・提供を行っています。
ユニファ様がUPSIDERカードを導入する最大の決め手となったのは、利用先の制限機能です。不正防止を最優先と考えているため、上限額だけでなく支払先も限定でき、安心してカード番号を担当者に渡せるようになったとのことです。
ユニファ様では、発行した約40枚のカードすべてに利用制限をかけ、同じ支払先でも用途によって細かく使い分けています。
利用先を制限することで、ユニファ様では不正利用の可能性がほとんど0となったそうです。
法人カードのポイントの所有権は、一般的に法人にあります。従業員も経営者も、会社の承諾なしに個人利用することは避けましょう。
個人利用を防ぐには、社内でルールを設けて周知させることが大切です。
法人カードで獲得したポイントの主な使い道は、次のとおりです。
- 業務に利用する消耗品などを購入する
- 出張費に充てる
- 社員の福利厚生費用として使う
- 利用代金のキャッシュバックとして使う
特定の人が利益を得るのではなく、全従業員へ還元される使い道がおすすめです。
法人カードで獲得したポイントは、利用したときに会計処理を行います。
購入代金にポイントを充てた場合は、ポイント使用後の支払金額を経費算入する値引処理か、ポイント使用前の支払金額を経費算入するとともにポイント使用額を雑収入として計上する両建処理を行いましょう。
キャッシュバックを受けてポイントを利用代金に充てる場合は、利用代金が引き落とされる際にポイント利用分を雑収入として計上しましょう。