電子帳簿保存法に対応した法人カードの使い方|領収書・利用明細の保管方法を解説

電子帳簿保存法に対応した法人カードの使い方|領収書・利用明細の保管方法を解説

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法人カードを利用した際に発行される領収書や利用明細を、効率よく保管するには電子帳簿保存法にならって保存しましょう。

紙の領収書やPDFなど、法令を守って保存するためにいくつかルールがあります。ルールとは異なる方法で保存したデータは、正式な書類とはみなされないため注意しましょう。

電子帳簿保存法にのっとって、データ管理を信頼性の高いものにしていきましょう。

3行でまとめると…

  • 電子帳簿保存法とは、紙媒体で保存していた書類をデータ化して保存することで認めている制度である##first
  • データの解像度やカラーに指定があるため確認が必要である##second
  • 保存するデータのルールを守って適切に保存することが義務付けられている##matome
監修者 高柳政道(一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、DCプランナー2級)

監修者

一級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得後、2020年5月に金融コラムニストとして独立。企業に属さないFPとして投資商品の選び方を中心に情報を発信。 資産運用・生命保険・相続・ローンなど、多岐に渡るジャンルの執筆及び監修業務を手掛け、関わった記事数は500を超える。
保有資格:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、DCプランナー2級

【監修者コメント】
既存の会計ソフトで電子帳簿保存法に対応できない場合は新たなシステムの導入が必要になりますが、導入費用を法人カードで支払うことで支払い時期が後ろにずれてキャッシュフローに余裕が生まれます。また、UPSIDERのように「アップロードした証憑が電子帳簿保存法の条件を満たしているかを自動で判定する」といった機能がある法人カードであれば事務負担を大幅に削減できます。

目次

電子帳簿保存法とは税務関係書類のデータ保存を行うための法律

電子帳簿保存法の施行から現在

電子帳簿保存法とは、決算関係や国税関係などの書類を電子データで保存することを認めている法律です。1998年に施行され、これまでは紙媒体での保存だった書類を、一定の条件を満たせば電子データで保存できるようになりました。

2022年1月には、電子取引で扱ったデータを紙で保存不可とされ、2024年1月にはデータ保存が義務化されました。

電子帳簿保存法は、法人や個人事業主など規模を問わずすべての事業者が対象です。

必要な書類・帳簿を保存できていないとどうなる?

2024年1月からは、電子帳簿保存法が義務化されているため、保存要件を満たしていない場合は罰則が科せられます。罰則内容は次のとおりです。

  • 青色申告の承認の取消
  • 推計課税や追徴課税が課せられる
  • 会社法による過料がかかる

電子帳簿保存法で書類、帳簿の改ざんなどの不正は会社法第976条違反に該当し、100万円以下の過料が科せられる可能性があります。

ただし、青色申告は取引の内容が確認できる書類がデータ以外にある場合に限り、すぐに取り消されることはありません。

適切にデータを保存しておくために、従業員に書類の取扱方法を周知したり、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入したりするなどの対策が必要です。

電子帳簿保存法の対象となる書類

電子帳簿保存法の対象となる書類は、次のとおりです。

国税関係帳簿仕訳帳
総勘定元帳
売掛帳
買掛帳
現金出納帳
など
決算関係書類貸借対照表
損益計算書
試算表
棚卸表など
取引関係書類請求書
見積書
納品書
領収書など

また、電子帳簿保存法には次の3つの保存方法があるため、書類の種類やデータ化のタイミングに併せて適切に保存しましょう。

  • 電子帳簿保存:会計ソフトで作成した電子帳簿や書類を保存する方法
  • スキャナ保存:紙媒体の書類をスキャナで読み込み電子化したものを保存する方法
  • 電子取引:メールで受信した領収書やクラウドサービス上で授受した書類などを保存する方法
電子帳簿保存法の対象となる書類

電子帳簿保存法による書類の取り扱いルール

電子帳簿保存法による書類の取り扱いには、次の3つのルールがあります。

電子帳簿保存法による書類の取り扱いルール

【電子帳簿等保存】電子帳簿・電子書類で保存する場合

電子帳簿保存は、電子的に作成した帳簿や書類をデータで保存することです。例えば、会計ソフトで作成した帳簿や決算関係書類、取引書類などをデータのまま保存できます。

会計ソフトで作成した帳簿を保存するためには、次の条件を満たす必要があるため、確認しておきましょう。

  • システムの説明書やディスプレイなどを備え付けていること
  • 税務職員からデータのダウンロードを求められたら応じることができること

これらの条件は、データの信頼性と改ざん防止のために必要です。また、保存したデータを後日簡単に確認できる状態にしておくこともポイントです。そのため、検索システムが整っていることが求められます。

【スキャナ保存】紙の書類をデータで保存する場合

スキャナ保存とは、紙の書類をスキャナでデータとして取り込む、またはカメラで撮影した書類をデータとして取り込む方法です。例えば、店舗で法人カードを使用した際の領収書を、スキャナで取り込んで保存するなどが挙げられます。

スキャナ保存する際にはいくつかルールがあり、すべてを満たすことが条件です。主なルールを紹介します。

  • 書類を作成または受領してから7営業日以内または事務処理サイクルの期間(最長2ヶ月)と7営業日以内にスキャナ保存すること
  • 一定の解像度、カラー画像による取り込みを行うこと
  • 14インチ以上のカラーディスプレイ及びカラープリンタ、取扱説明書を備え付けていること など

詳しい内容は「はじめませんか、書類のスキャナ保存【令和6年1月以降用】」で解説しているため、確認してみましょう。

【電子取引】電子的にやりとりしたデータを保存する場合

電子取引とは、電子的にやりとりしたデータを、電子データのままで保存することです。例えば、取引先からPDF形式の請求書がメールで送られてきたとします。この場合は、データとして保存しなければなりません。受け取ったデータだけではなく、自分が相手に送った場合も同様にデータで保存します。

「これまで紙でやり取りしていたものを、データでのやり取りに変えなければならない」わけではありません。データでやり取りした書類は、データで残しておきましょうという制度です。

電子データを保存する際は、次のようなルールが設けられています。

  • 改ざん防止の措置をとること
  • 日付、金額、取引先で検索できるようにすること
  • ディスプレイやプリンタを完備すること など

改ざん防止のための措置とは、タイムスタンプを付与する、削除訂正の履歴が残るシステムでデータの授受・保存をする、改ざん防止の事務処理規定を定めて遵守するなどが挙げられます。

法人カード決済したときどの書類の保管が必要?

法人カードを使用して支払いを行った場合は、領収書や利用明細をどのような形式で受け取ったかによって保存方法が異なります。次のパターン別に、保存方法を紹介します。

法人カード決済したときどの書類の保管が必要?

紙の領収書が発行された場合

例えば、店舗で法人カードを使用した場合は、紙の領収書が発行されることが多いです。紙の領収書は「スキャナ保存」に該当します。領収書に、次のような取引の詳細が記載されているか確認しておきましょう。

  • 発行日
  • 取引先
  • 金額
  • 取引内容

領収書の詳細が確認出来たら、パソコンにつながったスキャナで取り込んだり、スマートフォンで写真を撮影したりする方法でデータ化し、保存しましょう。データの保存期間は、税務署の定めにより7年間と決められています。保管期間が過ぎるまで適切に保存しておきましょう。

PDFなどのデータで領収書が発行された場合

例えば、ECサイトで商品を購入した場合は、ECサイトの注文履歴や別途メールで発行される領収書などが対象になります。保存する際は、タイムスタンプを付与し、すぐに閲覧できるように設定をしてから保存しましょう。

この場合は「電子取引」に該当するため、受け取ったデータをそのまま保存するようにしましょう。

利用明細を電子データで受け取った場合

領収書だけではなく、利用明細も保管が必要です。会員専用ページからPDFなどのデータで閲覧、保存できる場合が多いため、会員ページを確認してみてください。

保存する際は、いつのデータなのかがわかるように、日付や取引内容をファイル名に入れておくと検索がスムーズです。

電子帳簿保存法対応に法人カード利用者が増えている理由

電子帳簿保存に対応していくために、次の理由から法人カードを利用する会社が増えています。

電子帳簿保存法対応に法人カード利用者が増えている理由

利用明細を電子データ保存しやすい

法人カードで決済をすると、利用明細がデータ化されます。利用明細は、いつ、何に、いくら利用したのかが確認できる書類であり、現金や振込などの手段よりもデータを閲覧、照合しやすいです。

利用明細のデータは、カード会社の会員ページなどにログインして閲覧できます。PDFデータなどで保存することも可能です。

クレジットカードの利用明細は電子帳簿保存法の対象となるため、保管しておきましょう。

青色申告特別控除の条件を満たしやすい

青色申告特別控除を受けるためには「優良な電子帳簿」の要件を満たした電子データが必要です。優良な電子帳簿と認定されるには、次の要件を満たしたものになります。

  • 電子帳簿を保存するための要件
  • 訂正などの履歴が残る
  • 帳簿間で相互関連性がある
  • 日付、金額、相手方による検索機能がある

この要件を満たすと、65万円の青色申告特別控除の適用対象になります。電子帳簿保存法に対応することで、同時に青色申告特別控除にも対応できるため、個人事業主などで特別控除を受けていない方に向いています。

法人カードを活用するメリット

電子帳簿保存法以外の面でも、法人カードを活用するメリットはさまざまあります。主なメリットを2つ紹介します。

法人カードを活用するメリット

業務効率化が期待できる

法人カードはさまざまな面で業務効率化に活用されます。特に、会計ソフトと連動することで、経理担当者が金額や使い道などの情報を入力する必要がなくなります。

また、会計ソフトとの連携により、入力ミスや書類紛失などの人為的ミスが軽減されるかもしれません。

インボイス制度の対応にも活用できる

法人カードのなかには、提出された証憑が適格請求書に該当するかを自動で判別できるものもあります。経理作業において、「この支払いはインボイス制度の要件を満たしているか」と確認する必要がなくなるため、作業負担軽減につながるでしょう。

電子帳簿保存法に関連する法人カード利用時の注意点

電子帳簿保存法にはいくつか注意点があります。ここでは、法人カードで電子帳簿保存法に対応する際の注意点を紹介します。

電子帳簿保存法に関連する法人カード利用時の注意点

スキャナ保存する際はカラー・解像度など細かなルールを守る

法人カード利用時に発行された領収書を、スキャンしたり撮影したりして保存する場合は、カラーや解像度にルールが設けられています

  • 解像度は200dpi以上で読み取る
  • 赤・緑・青それぞれ256階調以上のカラー画像で読み取る
  • 14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字が認識できる など

一般的なスキャナで読み取る場合は、解像度が200dpi以上のものが多いため、通常通りのスキャンで問題ありません。しかし、次の場合は解像度が200dpi以下になりやすいため、注意しましょう。

  • メール添付、ファイル共有サービスの利用
  • ウェブでクラウド支払いにログインし、画像付きで書類を作成 など

画像が圧縮されると、解像度が下がりやすいです。保存する前に解像度を確認しておきましょう。

カラーは256階調以上で読み取ることがルールになっているため、スキャナでの取り込みやスマートフォンでの撮影時は、256階調または24ビット以上になるように設定を確認して読み込みましょう。

領収書の電子化期限を守る

電子帳簿保存法のタイムスタンプとは、データに付与される日付と時刻を指します。改ざんされていない書類であると示すために、第三者機関によるタイムスタンプの発行が必要です。

タイムスタンプの付与の期限は、およそ2ヵ月と7営業日とされていますが、期限に関係なく速やかにタイムスタンプを発行しましょう。

インボイス制度に応じた取り扱いも把握する

電子帳簿保存法は2024年1月から義務化され、インボイス制度は2024年10月から始まっています。どちらも税金の関連するルールであり、処理の効率化を目的としています。

社内でやるべきことやルールが煩雑になっているかもしれません。電子帳簿保存法に対応するためのルールに加え、インボイス制度でやるべきことを把握、理解し、社員へ周知も行っていきましょう。

例えば法人カードの場合は、インボイス制度に対応するために領収書とレシートが適格請求書として扱えるため、保存が必要です。

電子帳簿保存法やインボイス制度は似たような制度ではありますが、経営者や経理担当者は違いやルール、保存方法などを把握し、正確に処理していきましょう。

電子帳簿保存法に対応したUPSIDERカード!

UPSIDERカードを利用することで、電子帳簿保存法のほかインボイス制度にも対応できます。各種法律に対応することはもちろん、業務効率化にもつなげられる便利なカードです。

電子帳簿保存法の要件を満たしているか自動で判定

UPSIDERカードは電子帳簿保存法に対応しており、証憑アップロードの際に要件を満たしているかを自動で判定します。データは、電子帳簿保存法の要件を満たす形式で保存され、紙の原本を回収、保存は不要です。

また、証憑アップロードの自動判定は、インボイス制度にも対応しています。アップロードされたものが、適格請求書の要件を満たしているかが自動判定されるため、解像度やカラーの要件を細かく確認しなくてもデータ化できます。

証憑アップロード機能は、スマホアプリやSlackでのアップロードにも対応しているため、発行されたらすぐにスマートフォンで撮影しておくと、保存作業がスムーズに進むでしょう。

証憑未提出の決済は一覧表示+リマインドで負担軽減

法人カードで決済しているのに証憑が未提出の場合は、管理画面の一覧で表示されます。加えて、未提出の際はリマインドされるため、経理担当者が法人カード所有者に口頭で確認する負担も軽減されます。

カード会員、経理担当者どちらの負担も軽減されることから、業務効率化につながるといえるでしょう。

業界最大の利用可能枠(限度額)最大10億円

UPSIDERカードは、利用可能枠(限度額)が最大で10億円まで設定可能です。一般的な法人カードの場合は数百万円程度ですが、それと比較すると高額といえます。

UPSIDERでは、独自の与信モデルを採用していることで、高い利用可能枠(限度額)が実現しています。

よくある質問

電子帳簿保存法により法人カード決済時の領収書はどのように保存すればいいですか?

紙で受け取った場合、スキャナで取り込んだり、スマートフォンで撮影したりしてデータ化し保存します。

詳しくは「法人カード決済したときどの書類の保管が必要?」を確認してみてください。

電子帳簿保存法ではクレジットカードの利用明細は保存しなければなりませんか?

クレジットカードの利用明細も保存が必要です。昨今利用明細は、会員専用ページなどで閲覧、保存が可能となっているため、電子データとして保存しましょう。

電子帳簿保存法に対応しない場合はどうなりますか?

青色申告の承認取消、追徴課税、推計課税などが課される可能性があります。書類や帳簿の改ざんなどの不正は、会社法976条に反するため、100万円以下の科料に科せられることがあります。

電子帳簿保存法のメリットを教えてください

電子帳簿保存法に対応することで、生産性の向上につながります。具体的には、電子データにすることで、書類の保管スペース削減、印刷代や印紙代のコスト削減、書類管理の負担軽減が可能です。

電子帳簿保存法における法人カードの領収書・利用明細の保管期限を教えてください

法人の場合、7年間の保管が必要です。