法人カードの契約には多くの場合、連帯保証人が必要で、通常は法人の代表者が連帯保証人となります。連帯保証人の責任は保証人より重いため、できることなら連帯保証人を立てずに法人カードを利用したい法人も少なくないでしょう。
今回の記事では法人カードにおける連帯保証人の必要性や、連帯保証人になる際の注意点、連帯保証人を立てずに法人カードを作る方法などを詳しく解説します。
この記事を読めば代表者が法人カードの連帯保証人になる場合の注意点が理解でき、債権者から請求された際にも適切な対応ができるようになります。
また、代表者の個人保証が不要なUPSIDERカードを紹介するので、参考にしてください。
目次
一般的に法人カードを作る際には、連帯保証人が必要です。最初に、保証人と連帯保証人、法人カードとの関係などについて、以下の内容を解説します。
保証人と連帯保証人は、債権者との間で主債務者が債務の支払いをしない場合に代わりに支払う義務を負う約束をする契約(保証契約)を結びます(民法446条1項)。法人カードでいえば、債権者はカード会社、主債務者は法人となります。
一般的に法人カードでは保証人ではなく、連帯保証人を求められます。連帯保証人には保証人に認められている、以下の権利がありません(民法454条)。
| 内容 | 条文 |
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催告の抗弁権 | 債権者から請求があった場合に「まずは主債務者に請求してください」と主張する権利 | 民法452条 |
検索の抗弁権 | 債権者から請求があった場合に「主債務者に財産があるので、先に主債務者の財産から取り立ててください」と主張する権利 | 民法453条 |
分別の利益 | 保証人が複数いる場合に「保証人の人数で割った金額のみを返済すればよい」という権利 | 民法456条 |
保証人は債務者が支払いをしない場合に初めて支払い義務が発生します。しかし、連帯債務者の場合、債権者は債務者に請求する前に連帯保証人に対して請求できるのです。つまり、連帯保証人は主債務者と同等の責任を負う立場であり、保証人より大きなリスクを負うことになります。
以下の表は、保証人と連帯保証人の違いをまとめたものです。
| 保証人 | 連帯保証人 |
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支払い義務の発生時期 | 債務者が支払えない場合 | 債権者から請求されたとき |
債権者の請求順序 | 債務者→保証人 | 債務者または連帯保証人、どちらに対しても請求可能 |
支払い責任の範囲 | 保証人の人数で按分した金額だけ | 債務全額 |
法人カードに連帯保証人が必要な理由は、カード会社に貸し倒れリスクを回避する必要があるからです。カード会社は法人の支払いを立て替えているため、一時的に「お金を貸している」状態になります。カードの引き落としができないということは、延滞を意味します。
仮に法人が倒産した場合、立て替えたお金の回収はできないかもしれません。そのようなケースに備え、連帯保証人を立てて確実に回収できるようにするわけです。
通常、法人カードの連帯保証人を第三者に頼む必要はありません。連帯保証人の要否、誰に頼むかについて以下の表にまとめました。
| 法人 | 個人事業主 |
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連帯保証人の要否 | 必要な場合が多い | 基本的に不要 |
必要な場合、誰に頼むか | 通常は代表者が指定される | 第三者 |
第三者の場合、誰に頼むか | ・代表者以外で実質的な経営権を持つ人・代表者の配偶者で事業に関わっている人・事業承継予定の人 | ・安定した収入がある人で事業主の配偶者や親が一般的 |
上記のように法人が連帯保証人を求められる場合は代表者が指定され、個人事業主には連帯保証人を求めないカード会社がほとんどです。
法人で連帯保証人の追加を求められたり、個人事業主に第三者の連帯保証人を求められたりする可能性はゼロではありませんが、レアケースと考えられます。クレジットカードで貸し倒れが発生した場合のカード会社の損失額は、金融機関の融資に比べて低いためです。
2020年4月から施行された民法改正により、個人を相手方とする根保証契約において保証人の責任限度額を定める「極度額」の記載が義務付けられました(民法465条の2)。
根保証とは継続的な取引関係から生じる不特定の債務を保証する契約で、クレジットカードの保証(連帯保証も含む)も該当します。この改正により極度額の設定がない根保証契約は無効となり、連帯保証人は極度額を超えた責任を負う必要はなくなりました。
【参照元】『2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります』|法務省
続いて、法人カード利用において連帯保証人が債務を負うケースについて解説します。法人カードの連帯保証人は、主に以下のケースで債務を負います。
法人が法人カードの利用代金を滞納すると、法人だけでなく連帯保証人である法人の代表者にも督促の連絡が入ります。その場合、連帯保証人は支払いに応じなければなりません。
連帯保証人が債務者の代わりに支払いをした場合、債務者へ請求が可能です。この権利を求償権といいます(民法442条)。 つまり、連帯保証人はカード会社からの請求を拒否できませんが、肩代わりした債務は主債務者への請求ができるのです。
法人が破産すると法人カードの支払いも不能になり、連帯保証人が請求を受けることになります。連帯保証人が代表者の場合、それだけでなく個人保証している法人の債務全体の返済義務を負わなければなりません。
代表者個人の資産で債務を返済しきれない場合、代表者の債務整理の手続きが必要になります。債務整理には、以下のような方法があります。
方法 | 内容 |
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任意整理 | 弁護士や司法書士が仲介し、債権者と交渉して返済額や条件を緩和する手続き |
個人再生 | 裁判所を通じて債務を大幅に減額し、3年〜5年で返済する計画を立てる手続き |
自己破産 | 裁判所を通じてすべての債務を免除し、資産を清算する最終手段 |
債務整理の方法は代表者の債務額や資産状況によって異なります。弁護士や司法書士などの専門家に相談し、最適な方法を選択する必要があります。
法人カードの連帯保証人になると、法人が滞納した際に代わりに支払いをしなければなりません。それ以外には、以下のようなリスクが考えられます。
法人カードの連帯保証人になると、住宅ローンの審査などに影響が及ぶ可能性があります。連帯保証人になると、その情報がCICのような信用情報機関に登録されます。
信用情報とはクレジットカードやローンといった借り入れ、返済状況に関する記録です。また、信用情報機関は金融機関等から提供された信用情報を登録・管理し、金融機関等に提供する機関です。
金融機関に住宅ローンやその他の借り入れを申し込む際には、連帯保証人である事実が知られてしまいます。ローンの審査基準は金融機関ごとに異なり、連帯保証人であることが必ず不利に働くわけではありません。しかし、影響する可能性もあると知っておきましょう。
【参照元】『知人がクレジット契約をする際に保証人になりましたが、CICに情報は登録されますか?』|CIC
法人カードの連帯保証人になると、信用情報に傷がつくリスクがあります。債権者からの請求による連帯保証債務の弁済ができない場合、信用情報機関に事故情報として登録される可能性があるのです(いわゆるブラックリスト入り)。
信用情報機関に事故情報が登録されると、以下のような不利益を受けるおそれがあります。
- クレジットカードの審査に通りにくくなる
- 住宅ローンや車などのローンを契約できなくなる
- 賃貸住宅の契約時に保証会社から断られる可能性がある
事故情報は契約終了後(完済後)約5年で抹消されます。年数は完済後からカウントされるため、早期に返済を済ませる必要があります。信用情報に傷がつくリスクは小さくないため、連帯保証人の必要な法人カードの契約は慎重に検討しましょう。
【参照元】『信用情報の内容と登録期間』|JICC
【参照元】『CICの加盟会員から登録される情報』|CIC
法人の代表者の場合、法人カードの連帯保証人にならざるを得ない場合もあるでしょう。法人カードの連帯保証人になる場合には、以下の点に注意が必要です。
法人カードの連帯保証人になる際には、保証範囲をしっかりと確認しておくことが非常に重要です。以下について事前に確認しておきましょう。
確認項目 | 内容 | 補足 |
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利用可能額 | 法人カードの利用可能な最大金額 | |
極度額 | 保証債務の上限額 | 利用可能額と同額のケースが多い |
会員規約 | 連帯保証人の責任範囲が記載されている文書 | 契約前に必ず内容を確認し、不明点はカード会社に問い合わせる |
遅延損害金 | 延滞時に日割りで発生する損害金 | 損害金の利率を確認 |
法人カードは個人のクレジットカードに比べて利用可能枠が大きく、連帯保証人になった場合に負担すべき債務も大きくなります。そのため、あらかじめ最大でどのくらいの金額の支払いが発生するのかを把握しておく必要があります。上記のような情報がわからない場合、カード会社に問い合わせるようにしましょう。
法人カードの保証人としてどの程度の負債を負う可能性があるか把握できたら、自分の財産状況を確かめましょう。カード会社から保証債務の請求を受けた場合の自分の支払い能力を把握するためです。
財産状況は、以下の内容をチェックしましょう。
- 現金・預金:緊急時にすぐに使えるお金はいくらあるか
- 不動産の評価額:自宅や投資用不動産の最新の評価額
- 有価証券:株式や投資信託などの時価評価額
このように法人の代表者が個人の財産を把握することは、法人を経営していくうえで極めて重要です。定期的に財産状況を見直していきましょう。
法人カードを利用している法人の代表者が変わった場合、カード会社に代表者変更の手続きをしなければなりません。その際に、連帯保証人の変更も忘れずに手続きしましょう。元代表者が法人と無関係であっても、連帯保証人として請求を受けるリスクを避けるためです。
新しい連帯保証人は、通常は新代表者となります。代表者の変更手続きだけでは、自動的に連帯保証人も変更されるわけではない点に注意しましょう。
法人カードの連帯保証の債務の支払いが難しくなった場合、早めに対策を講じることが重要です。以下の手順に従って適切に対応しましょう。
まずはカード会社に連絡を取り、状況を説明します。カード会社によって対応は異なりますが、分割払いや支払期限の延長のような支援策を提供してくれる可能性があります。
どうしても支払いができそうもない場合、弁護士に相談しましょう。弁護士は債務整理など、状況に合った最善の方法をアドバイスしてくれます。支払いできない状況を放置せず、早期の対応を心がけましょう。
代表者が法人カードの保証債務を負うリスクを回避したい場合、連帯保証人不要の法人カードがおすすめです。
法人カードの中には、連帯保証人を求めないものもあります。これらのカードは、企業の信用度や財務状況をもとに独自の審査基準で発行されるため、法人の代表者や第三者が連帯保証人になる必要がありません。
ただし、連帯保証人を求めない分、審査が厳しくなる可能性があるため、企業の財務状況をしっかり整える必要があります。
連帯保証人のいらない法人カードをお探しの法人には、UPSIDERカードがおすすめです。UPSIDERカードの主なメリットをご紹介します。
- 最大10億円の高い限度
- 連帯保証人不要で申し込み可能
- 額を設定できる
- 独自の審査基準の採用で決算書も提出不要
- 年会費・発行手数料が無料
- リアルタイムの明細把握とデータ連携による経理業務の効率化が可能
- 利用額・利用先の制限機能やカード別の権限設定など、強固なガバナンス体制を構築できる
- 無制限のリアル/バーチャルカード発行が可能で、経費管理が容易
- 基本1.0%と高いポイント還元率
UPSIDERカードは独自の審査基準で高い利用限度額を提供しており、連帯保証人も必要としません。代表者が連帯保証人となることのリスクを回避しつつ、最大10億円の限度額が付与されます。
さらに、UPSIDERカードは年会費・発行手数料が完全に無料であるため、コストを抑えながら必要な枚数のカードを発行できます。まさに、成長企業のニーズに合った次世代の法人カードといえるでしょう。
多くの法人カードの契約には連帯保証人が必要とされ、代表者が指定されるケースがほとんどです。連帯保証人には保証人より重い責任が伴い、法人の債務不履行時には代わりに支払う義務が生じるため、比較的大きなリスクを負うことになります。
連帯保証人になる場合は保証範囲の確認や自身の財産状況の把握が重要ですが、できれば連帯保証人にならずに法人カードを利用したいところです。
そんな法人におすすめなのが、連帯保証人不要のUPSIDERカードです。独自の審査基準により最大10億円の高い限度額を提供しつつ、代表者の連帯保証を求めません。年会費・発行手数料も無料で、経費管理の効率化やガバナンス強化にも役立つ、まさに成長企業に最適な法人カードといえるでしょう。ぜひUPSIDERカードの導入をご検討ください。