法人カードを導入するとキャッシュフローの改善や経費管理の効率化など、さまざまなメリットがあります。しかし、法人カードで経費精算を一元化できない企業も少なくないでしょう。
この記事では、法人カードでキャッシュフローを改善するポイントを解説し、法人カードでキャッシュフローの改善に成功した事例を紹介します。
目次
キャッシュフローとは事業における現預金の流れであり、安定した経営を続けるために重要な要素です。キャッシュフローに悩む企業には、以下のような特徴があります。
「キャッシュフローが悪い」とは入ってくるお金が少なく、出ていくお金が多い状態です。入ってくるお金が少ない原因としては、赤字経営や売掛債権の未回収などが挙げられます。
赤字経営では売上が経費を下回り、利益が出ないために資金が減少します。売掛債権の未回収では商品やサービスを提供したのに代金を回収できず、現金化できないために現金が減少してしまうのです。
出ていくお金が多いのは、主に以下のような原因のためです。
- 過剰在庫や設備投資による無駄なキャッシュ流出
- 借入金の返済
- 売掛金の回収と買掛金の支払いのタイムラグ
売掛金の回収と買掛金の支払いのタイムラグでは売上代金を受け取るまでの期間と、仕入代金を支払うまでの期間に差があるために現金が減少します。
法人のキャッシュフロー改善の対策の1つとして、法人カードによる経費支払いが考えられます。法人カードがキャッシュフローに役立つポイントとしては、以下の4つが挙げられます。
法人カードを利用すると、経費の支払いを先延ばしにできます。法人カードでは、カードごとに締め日と支払日が決まっています。
たとえば、締め日が月末日で支払日が翌月末日だった場合、月初めに法人カードで支払った経費は、実際には翌月末日まで現金を出さなくてもよいのです。
つまり、最大で約60日分の支払いを先延ばしにできることになります。法人カードを利用して支払いが先延ばしにできると、支払いまでの間に資金を有効活用できます。
法人カードは個人のクレジットカードに比べて決済枠が大きいため、まとまった支払いを先延ばしにできます。
クレジットカードの決済枠はカードのランクや審査によってさまざまですが、個人向けの一般カードであれば50万円程度からが目安です。一方、法人カードの場合、審査に通れば数百万円の限度額を設定してもらえることもあります。
毎月の経費以上の法人カードの限度額が確保できると、経費支払いを法人カードに一元化することができるため、キャッシュフローが改善されるだけでなく、資金繰りの柔軟性が高まります。
法人税などの納税には、法人カードを利用できます。納付期限が来る前にカード決済をすれば、実際には納付期限から約1カ月後まで現金を出さなくてもよいことになるわけです。
法人カードで納税できる税金の一例として、以下のような種類があります。
- 申告所得税・復興特別所得税
- 消費税・地方消費税
- 法人税(連結納税を含む)
- 地方法人税(連結納税を含む)
- 源泉所得税・復興特別所得税
法人税の場合、「国税クレジットカードお支払いサイト」から法人カードでの納付ができます。このサイトで法人税を納付する流れは、以下のとおりです。
- 納付書の準備とサイトの注意事項の確認
- 利用者情報、納付情報を入力
- クレジットカード情報を入力
- 入力内容を確認後、納付完了
なお、国税をクレジットカード払いで納付すると、納税額に応じて手数料がかかります(1万円の場合、税込83円)。
法人カードを利用すると、ポイントで経費削減が可能です。法人カードでは、カード利用額に応じてポイントやマイルが貯まり、カードの支払いに充当できるカード会社もあります。
たとえば、月々100万円の経費を法人カードで決済し、1%のポイント還元率だとすると、1年間で12万円分のポイントが貯まります。このポイントをカードの支払いに充当すれば、12万円分の経費削減になるわけです。
法人の資金繰りには、クレジットカード利用やファクタリング、融資といった方法があります。そのうち、法人カードは個人カードやファクタリングや融資などと比べて、キャッシュフロー改善に効果的なポイントが多くあります。
法人カードとは、法人や個人事業主の事業用の経費支払いのためのクレジットカードです。これに対し、個人カードは個人が私的な買い物の支払いに利用するクレジットカードです。
両者の特徴を以下の表で比較してみましょう。
| 法人カード | 個人カード |
利用者 | 法人・個人事業主 | 個人 |
利用限度額(目安) | 10万円~500万円 | 10万円~100万円 |
引き落とし口座 | 法人口座(個人事業主は個人口座) | 個人口座 |
付帯サービス | ビジネス向けサービス(出張・接待・経費精算など) | 日常生活向けサービス(ポイント還元・旅行保険など) |
個人事業主が経費の支払いにクレジットカードを利用する場合、個人カードでは限度額が低くて使えないおそれがあります。また、法人の場合、引き落とし口座が個人である個人カードは経理処理が複雑になるため、利用すべきではありません。
ファクタリングとは、売掛金を売却して資金を調達する方法です。売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、その代わりに現金を受け取ります。
法人カードでの経費の支払いと、ファクタリングで調達した資金を支払いに充当する方法を以下の表で比較してみます。
| 法人カード | ファクタリング |
支払い期限 | 先延ばし可能 | 期限までに支払い可能 |
利用限度額 | カードの利用枠が上限 | 売掛債権額が上限 |
手数料 | 低い | 高い(2%~18%) |
ファクタリングは売掛債権の売却であるため、現金化は比較的容易です。しかし、調達できる金額は売掛債権額が上限となるため、支払額全額に不足するおそれがあります。
また、手数料が高いため、頻繁には使いたくない方法といえます。経常的な経費の支払いには、ファクタリングよりも法人カードの利用が適していると考えられるでしょう。
経費支払いの資金が不足する場合、融資で資金調達する方法も考えられます。以下は、法人カードと融資で調達した資金による経費支払いの比較です。
| 法人カード | 融資 |
審査 | 比較的容易 | 厳しめ |
支払期限 | 先延ばし可能 | 融資契約に定められた支払期限 |
利用限度額 | カードの利用枠が上限 | 審査に通れば希望額が調達可能 |
手数料・利息 | 低い | 高い(3%~18%) |
融資のデメリットの1つは審査の厳しさで、時間がかかる場合もあります。融資は銀行以外に審査のあまり厳しくないノンバンクからも受けられますが、金利が高めです。
法人カードで経費を支払う場合、長期にわたる返済や金利負担はありません。よって通常の経費の支払いには、法人カードの利用が適しているといえます。
法人カードを導入することでキャッシュフロー改善だけでなく、多くのメリットがあります。ここでは、法人カードを導入する5つのメリットについて解説します。
法人カードでは「月末締めの翌20日払い」のように、支払日が先送りされます。そのため、資金がすぐに減少する現金払いよりも、キャッシュフローが改善されます。手元資金にゆとりができると、柔軟な事業運営ができるようになるでしょう。
法人カードを利用すると、利用額に応じてポイントやマイルが貯まります。カード会社によっては貯まったポイントをカードの支払いに充当できるため、経費削減やキャッシュフローの改善につながります。
経費支払いを法人カードに一元化している企業では、カードの利用額も高額になるでしょう。利用額が高額になると、ポイント還元による経済的メリットも大きくなります。そのため、ポイント還元率の高い法人カードを選ぶのがおすすめです。
法人カードを利用すると、経費精算の効率化を図れます。法人カードを渡された従業員は経費を立て替える必要がなくなり、経費精算書などの作成も不要になります。
また、経理部門も経費の確認や承認といった作業の効率化が可能です。会計ソフトや経費精算システムと連携できれば、さらに経理業務の工数削減につながるでしょう。
法人カードでは経費利用をすべて可視化できるため、企業ガバナンスの強化につながります。法人カードの管理画面やアプリから、誰がいつどこで何に使ったかを確認できます。そのため、従業員の不適切な利用や不必要な経費の利用防止が可能です。
法人カードでは、予定していなかった高額な出費にも対応できます。たとえば、急な災害で設備や車両が被害を受けたような場合です。金額が高額になると現金では支払いが困難な場合もありますが、法人カードなら限度額内であれば即時に支払えます
法人カードを利用する際には、以下のような点に注意する必要があります。
- 領収書の保管に注意する
- 利用明細の確認を怠らない
- カードの紛失・盗難に注意する
- カードの利用範囲を明確にする
- カードの限度額を把握する
- カードの利用目的を明確にする
- カードの利用者を限定する
法人カードを効果的に利用していくには利用規約を作成し、社内に周知することで、企業全体で適切な利用方法を理解できるようになります。また、利用状況を随時チェックし、不適切な利用を未然に防ぎましょう。
キャッシュフローの改善におすすめの法人カードとして、UPSIDERカードをご紹介します。UPSIDERカードは、一般的な法人カードと比べて以下のような特徴があります。
UPSIDERカードの毎月の利用限度額は最高10億円です。一般的な法人カードの利用限度額は数百万円なので、圧倒的に高い金額設定になっています。
利用限度額は、毎月の口座振替完了後の4営業日後に復活し、限度額の足りない月は前払いの保証プランとの併用も可能です。個別の利用限度額は審査によって決まりますが、利用限度額に余裕があると資金繰りも安定するでしょう。
UPSIDERカードの年会費は無料で、カード発行枚数も無制限です。カードごとに利用期間や利用限度額、利用先を限定でき、枚数も無制限なため、導入企業ごとに柔軟な運用が可能です。
UPSIDERカードはインボイス制度および電子帳簿保存法に対応しています。インボイス制度では、法人カードの利用明細を適格請求書として利用できないため、明細ごとに領収書のような証憑の回収が必要です。
UPSIDERカードはスマホアプリで証憑のアップロードが簡単にでき、証憑がインボイス制度や電子帳簿保存法に対応しているかを自動的に判定します。
UPSIDERカードは、カードでの経費の支払いをデジタルで一元化できます。カード決済のデータはUPSIDER上で仕訳され、会計ソフトと連携できます。
また、UPSIDERカードの管理画面では、発行したカードの利用履歴や限度額を一覧で確認可能です。
UPSIDERカードはポイント還元率が高い法人カードです。一般的な法人カードでは0.5%程度のポイント還元率が相場ですが、UPSIDERカードは通常のポイント還元率が1.0%となっています。
貯まったポイントを1ポイント1円でカードの請求額から差し引くため、経費節減につながります。また、キャッシュフロー改善にも効果的です。
UPSIDERカードは、さまざまな業種や規模の企業に選ばれています。ここでは、UPSIDERカードを導入してキャッシュフローが改善された事例を紹介します。
株式会社Linc’well様はヘルスケアITスタートアップとして、ヘルスケアプラットフォーム事業を主力とし、患者体験にフォーカスしたサービスを提供しています。同社の課題は下記の通りでした。
- 法人カードの与信枠が不十分なために前払いをしていた
- 証憑回収の難航
そこで、UPSIDERカードを導入すると十分な与信枠を確保でき、前払いが不要になりました。与信枠管理も不要になったため、キャッシュフローと作業負担の両面が改善されたとのことです。
また、UPSIDERカードのSlack連携機能を活用して、証憑回収フローを自動化できるようになりました。
REHATCH株式会社様はデジタルマーケティング企業として、大手企業からスタートアップまで幅広い企業のマーケティングを支援しています。同社の課題は、2つありました。
- 法人カードの限度額が事業の成長に見合わない
- 法人カードの申請から発行に時間がかかる
法人カードのニーズがありながら限度額が足りない場合、キャッシュフローにも悪影響を及ぼします。UPSIDERカードは申請から3日後に、既存の法人カードの5倍以上の限度額で発行されました。
REHATCH株式会社様はクライアント企業の広告運用のための立て替え払いが多く、クライアントのアカウントごとにバーチャルカードを利用しているとのことです。UPSIDERカードを導入してから、バーチャルカード機能の便利さに魅力を感じたそうです。
法人カードは経費の支払いを先延ばしにできるため、企業のキャッシュフロー改善に役立ちます。
しかし、法人カードの限度額は審査によって決まるため、十分な限度額を得られない場合があります。その場合、経費支払いの一元化ができず、経理業務の負担削減にもつながりません。
UPSIDERカードは最大10億円の利用限度額を提供しており、スタートアップにも十分な限度額を設定できるため、60,000社以上の企業様が利用しています。
また、カード発行枚数無制限で、カードごとの限度額設定や決済先の限定のような管理も選ばれているポイントです。法人カードでキャッシュフローを改善したい経営者様、経理担当者様はぜひ検討してみてください。