法人カードを利用すると支払いを翌月にまわすことができるため、キャッシュフローの改善に役立ちます。また、経費の支払いを法人カードに統一すると、お金の流れが可視化され、経理作業の負担が軽減できるなどのメリットもあります。
一方で、従業員が法人カードを使用する際は、ルールの周知やカードの管理などが必要です。法人カードの特徴やメリット・デメリット、注意点を確認して、キャッシュフローの改善に役立つ方法を検討してみてください。
【監修者コメント】
法人を運営するうえではさまざまな経費の支払いが発生しますが、法人カードの支払いにまとめることで利用日から引き落とし日まで支払いの猶予ができ、キャッシュフローに余裕が生まれます。法人名義の口座に現金を残すことができるため、経営に安定感が生まれるというメリットがあります。キャッシュフローの改善が急務である法人について、法人カードの導入を検討するのは有力な選択肢です。
目次
キャッシュフローに悩む企業には「入ってくるお金が少なく、出ていくお金が多い」という特徴があります。次の理由により、入ってくるお金が少ないと考えられます。
売掛債権の未回収は、商品やサービスの販売後に代金が回収できていない状態です。一方で経費の支払いは毎月発生するため、現金が減少します。
出ていくお金が多い原因には、次が考えられます。
- 過剰在庫や設備投資などによる過度なキャッシュの流出
- 借入金の返済
- 売掛金の回収と買掛金の支払いのタイムラグ
過剰在庫や設備投資、借入金の返済など、多くの支払いが発生するとキャッシュフローが悪化しやすいでしょう。
また、支払いと売り上げの回収のタイミングに差が出ると、一時的にお金が減少します。
キャッシュフローの改善には、次の理由により法人カードを活用すると便利です。
法人カードをはじめ、クレジットカードはカードで支払いした日と、引き落としされる日に時間差があることが特徴です。
例えば、カードの締め日が月末で翌月に引き落とされる場合、支払いの猶予が翌月末まで生じます。
支払いまでの期間を長くとることで、その間に資金を有効活用し、キャッシュフローを改善できる可能性が高まります。
なお、UPSIDERカードの場合は、月末締め翌月20日払い(口座振替)です。
法人カードは法人税や地方法人税など、さまざまな税金の納付方法として活用できます。企業が支払う主な税金は、次のとおりです。
- 事業所税
- 固定資産税
- 源泉所得税
- 印紙税
- 登録免許税など
企業が納付する税金の種類はさまざまあり、全てを支払うとまとまった金額になりやすいです。現金に余裕がないタイミングと納税期限が重なってしまった場合は、法人カードで納付すると支払いが先延ばしにできるため、キャッシュフローの改善に役立つといえます。
ただし、法人カードで納税する場合は、手数料が発生するため注意しましょう。
法人カードの利用可能枠は、個人カードと比較すると大きい場合がほとんどです。およその目安は次のとおりです。
- 法人カード:50万~100万円
- 個人カード:10万~100万円
企業が事業で使う金額は大きくなりやすいため、利用可能枠も大きく設定されていることがあります。支払いや納税などのタイミングが重なっても、法人カードなら決済できる可能性があります。 なお、実際の利用可能枠は、カードの種類やカード会社の審査などによって異なるため注意が必要です。
法人がキャッシュフローを改善する方法は、法人カード以外に次の方法が挙げられます。
資金繰りが悪化した際は、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受ける方法があります。法人カードと融資の違いを確認してみましょう。
| 法人カード | 融資 |
審査 | 経営実績や財務状況、代表者の信用情報を基に行われる | 法人の決算書や財務諸表、事業計画書などを基に審査が行われる |
支払期限 | カード会社が指定している引き落とし日 | 融資契約に定められた期限 |
利用限度額 | カードの利用可能枠 | 資産や借入の状況によって異なる |
手数料・利息 | – | 約3~15% |
法人カードの支払い方法は一括払いがほとんどであり、手数料や利息は発生しません。ただし、法人カードの種類によっては分割払いが可能なケースもあり、その場合は手数料が発生します。
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金化することで資金調達する方法です。売掛金の入金予定日よりも早く資金を入手できることが特徴です。
| 法人カード | ファクタリング |
審査 | 法人の財務状況や代表者の信用情報を基に行われる | 売掛債権の信用情報を基に行われる |
手数料 | – | 二社間:8~18%三社間:2~9% |
支払方法 | カード会社が指定している引き落とし日 | 債権先からの入金後 |
利用限度額 | カードの利用可能枠 | 売掛債権の金額内 |
売掛金の入金日前に支払いが発生した場合や、現金が必要となった場合などに、ファクタリングを利用すると資金調達が可能です。ただし、ファクタリングは手数料が発生するため、実際に受け取れる金額は売掛金よりも少なくなることを考慮して、活用しましょう。
また、ファクタリングには二社間と三社間があり、それぞれの手数料が異なります。
- 二社間:法人・ファクタリング会社の間で締結する方法
- 三者間:法人・ファクタリング会社・売掛金の債権先の間で締結する方法
三者間は売掛先の会社も含めてファクタリング契約を行うため、売掛債権の信用度が高いことから、二者間よりも手数料が低く設定されている場合が多いです。
パーチェシングカードとは、大企業、中小企業向けの法人カードの一種であり、企業間の取引に利用できるカードです。
複数の法人と取引を行い、それぞれで支払いが発生した場合にパーチェシングカードを使用することで、支払いが一本化できます。
パーチェシングカードで支払いを一本化することで、カード会社が指定する支払日にまとめて引き落としされるため、資金が残っている期間が確保できます。
また、支払日が統一されるため、経費管理がしやすくなり、キャッシュフローの改善に効果的といえるでしょう。
キャッシュフローの改善方法として、個人のクレジットカードを使用することも選択肢のひとつです。法人カードと個人カードの違いを確認してみましょう。
| 法人カード | 個人カード |
審査内容 | 法人の経営状況や財務状況代表者の信用情報 | 申込者の信用情報 |
利用限度額 | 50万~100万円程度 | 10万~100万円程度 |
引き落とし口座 | 法人口座 | 個人口座 |
法人カードは経営状況や財務状況を基に審査されるといわれており、設立年数が浅い場合や支払い能力に不安があると判断された場合は、審査に通らない可能性があります。
法人カードが発行できなかった場合は、個人のクレジットカードを使用して支払日までの期間をつくり、キャッシュフローの改善に活用できます。
ただし、個人カードには次のデメリットに注意して計画的に使いましょう。
デメリット | 対策 |
利用可能枠が法人カードよりも少ない傾向にある | 計画的に利用して限度額を超えないように注意する |
プライベートと混在する可能性がある | 個人カードをプライベート用と事業用の2枚用意して使い分ける |
法人カードには、キャッシュフローの改善以外にも次のメリットがあります。
法人カードを使用すると事業用の口座からまとめて引き落としできるため、次のようなメリットがあります。
- 経費精算書の作成が不要になる
- 現金の準備が不要になる
- いつ、どこで、いくら使ったかを利用明細で確認できる
このようなメリットにより、経理業務の効率化が期待できます。
法人カードの利用状況を明細で確認できます。何にどれくらいのお金を使ったかが可視化されるため、経費の見直しや改善に効果的です。
経費を可視化することで、従業員の生産性やモチベーションの向上、企業価値の向上、利益の増大などにも役立てられます。
法人カードは代表者だけではなく、従業員用として追加カードが発行可能です。追加カードで出張費や備品購入費、接待交際費などを支払うことで、経理作業の負担軽減できます。
また、ポイントやマイルが付与されるカードもあり、現金よりもポイントやマイルが貯まりやすくなるメリットもあります。
追加カードの発行枚数は、カード会社によって上限が設定されている場合があるため、確認しておきましょう。
法人カードも、一般的なクレジットカードと同様にポイントシステムが導入されている場合があります。
法人カードに付与されたポイントは法人所有となるため、ポイントを使用して備品を購入したり、支払いに充てて引き落とし額を減額したりすることも可能です。ポイントを有効活用することで経費削減につながります。
法人カードはキャッシュフローの改善にメリットがある一方で、次のようなデメリットも考えられます。
カード会社によって年会費が必要な場合があるため、申し込み前に確認しておきましょう。年会費のほか、付帯するサービスや機能、追加カードの発行上限枚数なども併せて確認し、自社に合うカードを選ぶと長く使い続けられます。
年会費を払いながら法人カードを利用することで、キャッシュフローの改善が見込めるかどうかを総合的に検討しましょう。
追加カードを従業員に配布するとカードの使用状況の管理が必要です。法人カードの導入により、キャッシュフローの改善が見込めますが、追加カードの管理に労力がかかる可能性もあります。
従業員には、法人カードの個人利用は不可と周知しましょう。そのうえで、定期的に各カードの利用明細を確認して管理していくことが大切です。
法人カードを利用する際は、次のことに注意しましょう。
経営者をはじめ、従業員全体に法人カードの利用方法や社内規定を周知することが大切です。法人カードの個人利用や不明な使い道は、会社としての信頼を損なう可能性があります。
使い方やルールを設けたうえで、法人カードを適切に利用できる体制を整えましょう。
法人カードの支払いで発行された領収書は保管しておく必要があります。領収書が適格請求書として扱われ、仕入税額控除を受ける際に必要な書類になるためです。
法人カード利用時のルールとともに、領収書などの書類を経理担当者に提出することも周知しておきましょう。
法人カードの紛失や盗難によって、第三者に不正利用される可能性があります。外出先をはじめ、社内でも紛失には注意が必要です。
万一、紛失してしまった場合は、速やかに経理担当者などに報告するよう周知しましょう。
UPSIDERカードは月末締め、翌月20日払い(口座振替)です。締日から引き落としまで1ヵ月近くあるため、資金繰りしやすく、キャッシュフローの改善に役立ちます。
また、UPSIDERカードを利用した際に付与されるポイントは請求額から差し引かれる仕組みのため、従業員の個人利用を防げます。
そのほかの特徴を確認してみましょう。
毎月の利用可能枠は、独自の審査基準により最大10億円まで設定できるため、一般的な法人カードと比較して高いことが特徴です。
会社の設立時や新しいビジネスモデルを展開する際など、多くの支払いが発生する場面では、利用可能枠が低いと支払いができなくなる可能性があります。
UPSIDERカードは利用可能枠が最大10億円と高く、キャッシュフローの改善にも効果的です。
UPSIDERカードは、年会費がかかりません。また、追加カードの発行枚数は無制限※で、発行にかかる追加費用もかからないため、カードを作る際のコストは発生しないことが特徴です。
※カード発行枚数は、当社都合により制限させて頂く場合がございます。予めご了承ください。
特に従業員が多い企業は、それだけ追加カードが必要になる可能性もあるため便利に利用できます。
UPSIDERカードの機能として、スマートフォンのアプリやSlackなどで証憑のアップロードができます。提出された証憑は、自動的にインボイス制度や電子帳簿保存法に対応しているかも判断可能です。
また、未提出の証憑が一覧にでき、未提出者へリマインドしやすいのが特徴です。法人カードを利用する従業員や、会計処理を行う経理担当者の業務負担が軽減されるでしょう。
UPSIDERカードを導入してキャッシュフローが改善し、ビジネスが加速した企業を紹介します。
株式会社Linc’well様はヘルスケアITスタートアップとして、ヘルスケアプラットフォーム事業を主力とし、患者体験にフォーカスしたサービスを提供しています。同社の課題は次のとおりでした。
- 法人カードの与信枠が不十分なために前払いをしていた
- 証憑回収の難航
そこで、UPSIDERカードを導入すると十分な与信枠を確保でき、前払いが不要になりました。与信枠管理も不要になったため、キャッシュフローと作業負担の両面が改善されたとのことです。
また、UPSIDERカードのSlack連携機能を活用して、証憑回収フローを自動化できるようになりました。
REHATCH株式会社様はデジタルマーケティング企業として、大手企業からスタートアップまで幅広い企業のマーケティングを支援しています。同社の課題は、2つありました。
- 法人カードの限度額が事業の成長に見合わない
- 法人カードの申請から発行に時間がかかる
法人カードのニーズがありながら限度額が足りない場合、キャッシュフローにも悪影響を及ぼします。UPSIDERカードは申請から3日後に、既存の法人カードの5倍以上の限度額で発行されました。
REHATCH株式会社様はクライアント企業の広告運用のための立て替え払いが多く、クライアントのアカウントごとにバーチャルカードを利用しているとのことです。UPSIDERカードを導入してから、バーチャルカード機能の便利さに魅力を感じたそうです。
法人カードの次の特徴から、キャッシュフローの改善に役立ちます。
- 支払いを先延ばしにできる
- 納税にも利用できる
- 利用可能枠が大きい
詳しくは「法人カードがキャッシュフロー改善に役立つ理由」を確認してください。
法人カードには、キャッシュフローの改善以外にも次のメリットが挙げられます。
- 経費精算を効率化できる
- 経費の可視化でガバナンスの強化につながる
- 追加カードを発行できる
- 貯まったポイントを支払いに充てることで経費削減につながる
詳しくは「キャッシュフロー改善以外の法人カードのメリット」を確認してください。
法人カードには、次のデメリットが挙げられます。
- 年会費が必要なものがある
- 不正利用がないか管理が必要となる
キャッシュフローの改善とデメリットを比較して、どちらを優先するのか、総合的に判断しましょう。詳しくは「法人カードのデメリット」を確認してください。