3行でまとめると…
- 赤字決算でも法人カードは利用できる。ただし財務状況や経営者の信用が芳しくない会社は審査落ちの可能性大##first
- 赤字の場合は決算書不要の法人カードがおすすめ。与信の仕組みが自社の状況にマッチするカードを選ぼう##second
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法人カードならUPSIDERカード。発行枚数無制限・限度額最大10億円で60,000社以上の導入実績!
オフィス用品の購入や税金の納付、広告費、通信費の支払いなど、さまざまな局面に役立つ法人カード。
支払いを法人カードに一本化すれば、従業員が経費を立て替えたり、領収書を発行・保管したりする必要はなくなり、経理の手間が大幅にカットされます。
また、法人カードは決済日と支払日の間に1ヵ月〜2ヵ月の猶予が設けられています。利用後も一定期間キャッシュが手元に残ることで、資金繰りがしやすくなるのも大きなメリットです。
ただ、法人カードを利用するには、まず審査を通らなければなりません。
カード会社の審査では会社の経営状態や経営者の信用情報がもれなくチェックされます。自社の決算が赤字の場合、「うちの会社は審査に通らないのでは…」と懸念している方もいらっしゃるのではないのでしょうか?
そこで今回は、赤字決算だと法人カードは利用できないのか、逆に利用できるとすれば、それはどういったケースなのか詳しくひも解いていきます。法人カードの利用を検討している方、カード会社の審査に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
監修者
税理士
松山市の税理士 越智聖税理士事務所、株式会社聖会計代表。経済産業省 認定経営革新等支援機関。
“ヒトの為に動く”をモットーとした懇切丁寧な対応で、主に中国・四国全域の中小企業を中心に支援。業種としては不動産業、建設業、飲食業、宿泊業、保険業などを中心に、酪農業、漫画家といった珍しい業種のクライアントまで対応している。会計・税務はもちろんのこと、お客様のお悩み事を解決する総合的なコンサルティング、緻密な経営診断にもとづく経営コンサルティングなどを得意とし、一般的には7割が赤字企業といわれるなか、当事務所の顧問先の黒字率は6割を超えている。
赤字決算だと法人カードがつくれない理由
まず結論から言うと、会社の決算が赤字だからといって、必ずしも法人カードの審査で落とされるわけではありません。
ひと口に赤字といっても、その実態はさまざま。多額の設備投資をしたことによって一時的に赤字になるケースもあれば、節税対策としてあえて赤字のまま決算している企業もあり、赤字の会社=経営状態が悪化している会社とは言い切れないからです。
ただ、それは裏を返せば、赤字の「理由」次第では法人カードの審査を通らない可能性があるということ。
一般的に決算が赤字で、かつ以下4つの条件から信用力や支払い能力が不十分だと判断されると、審査で落ちる可能性が高くなります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
赤字決算だと法人カードがつくれない理由
なお、法人カードの審査や対策についてはこちらの記事でもご紹介しています。あわせて参考にしてみてください。
理由①:会社設立の年数
1つめは会社設立からの年数(事業継続年数)。法人カードを申し込む際に提出を求められることの多い登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に記載されている項目です。
中小企業の場合、おおむね設立後3年〜4年で事業が安定し、廃業率が下がると言われています。法人カードの審査もこれにあわせ、事業継続3年以上というのが1つの目安となっています。
決算が赤字かつ設立から3年に満たない会社の場合、カード利用料の未回収リスクが高いと判断され、審査を通らないケースが多いようです。
また、法人カードを取り扱うカード会社のなかには「設立3年以上」、「2期以上の黒字決算」といった申し込み条件を明示しているところもあるので、事前に各社のWebサイトをチェックしておきましょう。
理由②:会社の実績
2つめは会社の経営実績です。決算書に記載された売上高が乏しかったり、取引先が少なく事業の実績・実態をつかみにくい状況で決算が赤字だったりすると、信用力、支払い能力の低い会社と見なされ、法人カードの審査で落ちる可能性が高まります。
ベンチャー企業やスタートアップにとっては、先述した事業継続年数とあわせてこの点が審査のネックとなるかもしれません。
会社を立ち上げて間もなく、実績も乏しい場合は決算書などの提出がいらず、比較的審査のハードルの低い、スタートアップ向けの法人カードから優先的に検討するのがおすすめです。
理由③:会社の財務状況
3つめは会社の財務状況。負債の有無やキャッシュフローの安定性、自己資本比率なども法人カードの審査結果を大きく左右します。
こちらは当然ではありますが、毎月の支出を収入でカバーできておらず、金融機関などからの借入の返済が滞っている状態で法人カードの審査をクリアするのは難しいでしょう。
また、法人カードの審査では、申込書(オンラインの申し込みフォームなど)とあわせて財務諸表(バランスシート、損益計算書など)の提出を求められることがあります。
この際、申込書と財務諸表に記載された数字(資産、負債、収益など)に食い違いがあると、審査にマイナス影響をもたらすので注意しましょう。
理由④:代表者個人の信用(クレヒス)
上記3点とあわせて代表者(経営者)個人の信用(クレヒス)も重要ポイントの1つです。
法人カードを発行するカード会社は、代表者の本人確認書類をもとに信用情報機関へ照会を行います。その際、過去に個人向けクレジットカードの支払いや住宅ローンの返済を滞納していたことが発覚すると、法人カードの利用が認められないことがあります。
また、代表者がいわゆる「スーパーホワイト」(過去にクレジットカードやローンを一切利用したことがない人)の場合も、審査落ちにつながりやすいと言われています。スーパーホワイトは信用情報機関に記録がなく、信用力を見極めにくいからです。
自身がスーパーホワイトに当てはまる可能性がある場合は、あらかじめ限度額の低い個人向けクレジットカードに申し込み、利用と返済の実績をつくっておくのがいいでしょう。代表者のクレヒスが審査に与える影響についてはこちらでもご紹介しています。ぜひご一読ください。
赤字でなくても法人カードがつくれないケース
上記のほか、そもそも決算が赤字でなくても法人カードの審査を通りにくいケースがあるので注意しましょう。
1つはバーチャルオフィスやレンタルオフィスを使っていること。こうしたオフィスを利用している会社は本当に事業所を構えているのか、事業を運営しているのか実態をつかみにくく、法人カードの審査に通りにくいと言われています。
同様に法人カードの利用目的が事業内容にそぐわない場合も、事業の実態や信用力を疑問視され、審査落ちする可能性が高いようです。
また、国内の滞在期間が6ヵ月未満の外国人が代表を務める会社については、法人カードをつくることができません(滞在期間6ヵ月未満だと銀行口座を開設できないため)。
滞在期間が6ヵ月を超える場合も、本人確認書類として在留カードや特別永住者証明書の提示が必要となります。なお、法人カードの審査基準についてはこちらでも詳しくご紹介しています。
赤字企業は法人カードはやめた方が良い?
ここまで法人カードの審査で落ちる理由を関連事項とあわせてご紹介してきましたが、赤字決算の企業はカードの利用そのものを避けたほうがいいのでしょうか?2つのケースに分けて見ていきましょう。
赤字企業は法人カードはやめた方が良い?
経営不振の企業は負債が増える可能性がある
まず、赤字決算が続いていたり、多額の借入があったりする企業は、仮に法人カードの審査に通ったとしても、利用範囲を絞ったほうがいいでしょう。
以下のような深刻な事態に陥るのを避けるためにも、オフィスの備品、消耗品の購入など少額の利用にとどめ、支払い責任にしっかりコミットできるようにしておきましょう。
【法人カードの支払い遅延がもたらす事態】
- 連帯保証人への請求(保証人とのトラブル、信用喪失)
- 信用情報に傷がつく(資金調達や借入がさらに困難に)
- 法人カードの強制解約(多くの場合、再申し込み不可)
- 延滞金の請求(さらなる負債の増加)
- 資産の差し押さえ(金額次第では経営危機に)
スタートアップ企業は事業がスムーズになる
一方のスタートアップ企業の場合は、法人カードの利用によって大きなメリットが見込めます。
その1つが経理業務の効率化。人手の限られるスタートアップでは、経営者みずからが経理作業をしなければならない局面が少なくありません。
そこで支払いを法人カードに一本化しておけば、立て替え処理や領収書の保管に悩まされることなく、事業企画、商品開発といった本質的な業務に時間を充てられるようになります。
また、毎月支払い額が変動するリスティング広告やソーシャルメディア広告の広告費も、法人カードで引き落とせば振り込みの手間をカットし、スムーズに処理できるようになるでしょう。
加えて、個人向けのクレジットカードと比べると利用限度額が大きいのも法人カードの利点の1つ。飲食店やアパレル店舗の開店準備など、まとまった額の投資が必要な局面でも、手持ちの資金を減らすことなく対応できます。
さらに、ビジネス向けの決済手段である法人カードでは、ユーザー特典として業務用アプリの無料アカウントなどが付いてくることも。カードの種類によっては経理以外の業務効率化にもつながるかもしれません。
【法人カードがスタートアップにもたらすメリット】
- 経理業務の大幅な効率化(わずらわしい立て替え処理などが一切不要に)
- 本質的な業務へのフォーカス(事業企画などに時間充てることが可能に)
- プロモ―ション費用の一括処理(広告費の支払いにもスムーズに対応)
- 高額な支払いへの対応(手持ちのキャッシュを残したまま投資できる)
- ビジネス向けのさまざまな特典(アプリの無料アカウント、福利厚生サービスの割引など)
条件クリアで赤字企業でも法人カードがつくれる!
ここからは自社の決算が赤字の場合、どういった条件をクリアすれば法人カードの審査に通りやすくなるのか、4つに分けてご紹介していきます。
条件クリアで赤字企業でも法人カードがつくれる!
① 毎月収入がある
1つめは毎月収入があること。売上規模としては小さくても、毎月コンスタントに収益をあげていれば会社が稼働している証明になりますし、コスト削減などを通じて赤字からの回復も見込めます。
赤字の会社法人カードを利用するためにはまず、毎月収入があるというのが前提になるでしょう。
② 借入がない
2つめは金融機関や消費者金融からの借入がないこと。決算が赤字でも、融資を受けたり、ローンを組んだりしていなければ、毎月の収入を赤字の解消に充てることで経営状況を改善することが可能です。
また、会社の状況が厳しいながら安易に借入に頼っていないというのは、経営に真摯に向き合っている裏付けともいえ、審査の通過を後押しする要因にもなるでしょう。
③ 税金の申告・支払いに遅延がない
法人カードの審査においては法人税や所得税の申告・納付に遅延がないというのもポイントです。
納税という最低限の義務を果たしているのを示すのはもちろんのこと、決算書の提出が必要な法人カードの場合、税金の申告を済ませていないとそもそも決算書を作成することができません。
④ 個人クレカの支払いを滞納していない
代表者が個人向けクレジットカードの支払いをきちんと済ませていれば、カード会社に追加発行を依頼し、それを事業用のカードとして利用することが可能になります。
また、代表者が使っているクレジットカードと発行元が同じ法人カードに申し込んだ場合、個人向けクレジットカードの利用状況(ランク、利用額など)によって、法人カードの審査を通過しやすくなることもあるようです。
なお、こちらの記事では審査不要で利用できる法人カードの種類とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介しています。法人カードの申し込みにあたり、自社の経営状況に不安を感じている方はあわせて参考にしてみてください。
赤字企業には「決算書不要」で申し込みできる法人カードがおすすめ
続いては法人カードの選び方についてご紹介します。
一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、2022年4月~2023年3月に発行された法人カードは約1,201万枚。
コロナ禍の影響もあって多くの企業がDXに取り組み、カード利用者が増えるなか、三井住友カードや三菱UFJニコスといった大手を含め、多くのカード会社がより手軽に利用できる決算書不要の法人カードを提供するようになりました。
【参照元】クレジットカード発行枚数調査結果|一般社団法人日本クレジット協会
決算書がいらないということは、簡単に言えば審査において会社の業績や収支が重視されないということ。決算が赤字の会社は決算書不要の法人カードを選ぶのがおすすめです。
ただ、ひと口に決算書が不要といっても、与信の基準はカード会社によってさまざま。
たとえば前述の大手を含めた一般的なカード会社の場合、決算書の数字に代わって先述した代表者個人の信用力が与信のポイントとなります。
それに対して当社が発行する法人カード「UPSIDER」が重視するのは”将来性”。詳しくは後ほどあらためてご紹介しますが、「UPSIDER」にはAIを活用した独自の与信モデルが取り入れられています。
法人カードの申し込みにあたってはまず、代表者の信用情報に傷はないか、将来的な事業拡大の見込みがあるかどうかなど、自社の状況を整理し、それにマッチする候補を絞りこんでいきましょう。
決算書の提出 | 与信のポイント | |
---|---|---|
一般的な法人カード | カード会社による(近年は提出不要のカードが増加) | 代表者個人の信用力 |
UPSIDER | 不要 | 企業の将来性 |
赤字でもOK!新しい与信の形で企業を支えるUPSIDER
ここからは当社のサービスをご紹介させてください。当社ではITと金融でスタートアップを支えるために、法人カード「UPSIDER」とあわせて「UPSIDER Coworker」「支払い.com」というサービスを提供しています。
赤字でもOK!新しい与信の形で企業を支えるUPSIDER
【参照元】法人カードのUPSIDERが描くAI Coworkerと与信モデルの未来|ASCII Team Leaders
UPSIDERはAIで将来性をチェック
「UPSIDER」はスタートアップと新興の上場企業向けの法人カードです。
当社の共同代表取締役を務める水野が、前職のスタートアップで法人カードの小さな限度額に苦労した経験と、創業から当面の間は赤字にならざるを得ないことが多いスタートアップを支援したいという想いからリリースされました。
その特徴は、先述のとおり企業の「将来性」を重視していること。
代表者の信用力などが審査対象となる従来の法人カードに対し、「UPSIDER」はAIが企業の銀行残高や入出金情報をリアルタイムにチェックし、与信枠を付与する独自モデルを採用しています。このモデルにより、最大10億円まで限度額を広げることが可能です。
これまでの累計導入社数は60,000社以上。2022年に東証グロースへ上場した企業の20%以上にご利用いただいており、トータルでの決済額は4,500億円以上にのぼります。
UPSIDER x 支払い.comで資金繰りを改善
スタートアップや中小企業が資金繰りや赤字の解消に苦労するのは、支払いそのものの負担もさることながら、既存の商習慣(月末締め・翌月末払いなど)や決済インフラ(決済代行サービスなど)のルールによるところが少なくありません。
そこで当社は株式会社クレディセゾンと共同で、請求書の支払いをクレジットカードで決済できるサービス「支払い.com」を2022年4月にスタートしました。
ご利用いただくお客様は当社が提供している「UPSIDER」や手持ちのクレジットカードを使い、請求書の支払い期限を実質的に最大60日間引き延ばすことが可能です。「支払い.com」を利用すれば支払いが立て込んでいる月も資金繰りに困ることはありません。
手数料は決済サービスとして最安クラスの一律4%。書類提出や担保は一切必要なく、オンラインの申し込みで最短翌日からの振込に対応します。
【事例】UPSIDERで法人カードを発行したスタートアップ企業
AIを活用した女性向けのパーソナルスタイリングサービスを提供している株式会社DROBE(東京都港区)。2019年の設立以来、順調に会員数を伸ばし、アパレル業界にイノベーションを起こすスタートアップとして注目されている企業です。
そんなDROBEでは、以前からネット広告の支払いに法人カードを利用していましたが、限度額が500万円と小さく、限度額に達するたび追加の入金作業が必要な状況に…。
そこでプリペイド式の法人カードに切り替えたものの、2ヵ月で数千万円の規模になる広告費を事前に入金しなければならない点にリスクを感じていました。
その解決策となったのが「UPSIDER」。2022年に「UPSIDER」の利用をスタートすると、限度額はそれまでの法人カードの10倍以上に広がり、追加入金の手間と事前入金のリスクに悩まされることなく広告費のやりくりができるようになりました。
さらに、事業が急拡大するなか当社担当者への相談を通じて限度額を1.5倍まで広げ、現在では広告費のほか、SaaSの利用料金や備品購入にも「UPSIDER」を利用しています。
執行役員CFOの中澤智彦さんによると「UPSIDERは”スタートアップを応援しよう”という意気込みがサービスの端々から感じられる」とのこと。
今後は「UPSIDER」に搭載されたfreee会計との同期機能や、Slackとの連携機能なども活用しながら、さらなる業務効率化を進めていくようです。
まとめ
経理業務の効率化や資金繰りの改善など、さまざまなメリットをもたらす法人カードは、決算が赤字の会社でも利用することは可能です。
ただし、経営実績や財務状況、代表者個人の信用力が原因となり審査落ちするケースも多いため、自社の置かれた状況を事前にきちんと見極めたうえで申し込みましょう。
そのうえで限度額の大きなカードをいち早く利用したい場合は、決算書の提出が不要なスタートアップ向けの法人カードを選ぶのがおすすめです。
さらに赤字の続く経営状況を包括的に改善するには、法人カードだけでなく、経理業務の効率化やキャッシュフローの安定化につながるサービスの導入もあわせて検討してみてはいかがでしょうか。